上で述べたように、卒業論文は「書くこと」よりも「段取り」が重要です。3年生のうちに始めておくことをお勧めします。ですが、やっぱり「まだ1年もあるから大丈夫」となってしまうでしょう。「段取りが大事だと言っても、それができないから慌てて書くんじゃないか」という学生の声が聞こえてきそうです。

 そこで、卒業論文を就職活動とリンクさせることをお勧めします。学生は就職を意識し始めると、やはり真剣になります。自分の将来がかかっているから当然でしょう。インターンシップや就職活動を経て、学生が見違えるほど逞しくなっていくのを感じます。

 多くの学生は、就職したい業界や業種をある程度決め、その範囲で活動していきます。インターンシップや就職活動では、必要な情報を集めたり、面接等で受け答えできるよう入念に準備と練習をしたりします。そこで、得られた情報や知見を卒業論文にも使うと、両立することができます。別々にすると労力は2倍になりますが、一緒にすれば一石二鳥です。

 もちろん、卒業論文は学部で学んだ専門的手法を用いる学術論文ですから、まったく同じものではありません。ですが、集める情報は重なる部分も多くあります。また、面接等で卒業論文のテーマについて聞かれることもあるので、就職に関係したものであれば就職への意欲をアピールできます(もちろん面接官は業界のプロですから、相手の方が詳しいことを心得たうえで受け答えした方が良いでしょう)。就職活動が卒業論文のためにもなり、卒業論文が就職活動のためにもなるわけです。

 手順①から手順④までは、文章を書くのではなく「メモ」的なものを作る段階です。就職活動の中で収集した情報の中から、卒業論文の題材として使えるものを「メモ」として整理しておけば、大きな負担なく卒業論文の準備を進めていくことができると思います。