連載企画:リアル体験!地方公務員の仕事紹介「予算の編成について(2)査定での「駆け引き」

 今回は、予算編成における査定でのやりとりについて、説明します。前回の投稿で述べたように、予算編成は、要求と査定の繰り返しです。予算を獲得したい部署が、予算編成を担当する財政課に予算を要求し、財政課はどのくらいの予算を確保するか判断する査定を行います。人件費など定型的なものは金額がほぼ自動的に決まるので担当職員の段階で予算が付きますが、重要なプロジェクトは市長の判断に委ねられるため、査定の最終段階まで持ち越されるのです。すべての査定が終わると、予算がまとまり議会に提出されます。

 今回は査定について、私が経験した財政課の視点から詳しく説明します。予算を要求する担当部署に対して、財政課が判断するのが査定なので、「お金をくれ(担当部署)」と「簡単にはやらないぞ(財政課)」とう本音の駆け引きが繰り広げられます。担当部署にとっては、予算が潤沢にあれば余裕を持ってプロジェクトを進められるのに対して、財政課にとっては、市民から預かった税金を無駄にするわけにはいかないのです。そこで、財政課は要求額の中から、いかに余裕のあるところを見つけて削るかが腕の見せどころとなります。

 要求する側の担当部署は、そのプロジェクトの必要性や要求額の根拠を資料にまとめ、財政課に提出します。要求の内訳は、100円足らずのボールペンから数億円の建築費用まで、多種多様です。ボールペンの要求については、100円✕50本=5000円の要求に対して、「30本あれば間に合いますよね?」と対応して100円✕30本=3000円という査定をすれば、要求額から2000円削ることができます。また、数億円の工事費の場合は、設計に華美なところがあれば削り、素材の質を見直して単価を下げてもらうこともできます(財政課の職員は技術的なことに精通しているわけではありませんが、経験を重ねれば着目すべき点が分かってきます)。

 あるいは、近隣の自治体と比較して手厚いサービスになっていれば「そこまでしなくても大丈夫ですよね?」と言って下げてもらうこともありますし、備品の買い替えなどは「今のものが使えるなら、不便かもしれませんがあと1年使ってください」など待ってもらうこともあります。こうして、査定ではさまざまな角度から要求額を削る余地がないかどうか見きわめ、費用を抑えつつサービスが提供できるようにしていくのです。

 私は、こうしたことを6年続けました。そのせいか分かりませんが、私生活でも「ケチ」なところが身についてしまい、また、「値引き交渉」も粘り強くできるようになりました。それが良いことかどうかは分かりませんが、公務員の経験の副産物として今でも生活スタイルになっています。

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