会計部門の仕事-チェック、チェック、またチェック!
「リアル体験!公務員誌上インターンシップ」に引き続き、私の経験を踏まえて地方公務員の仕事を紹介したいと思います。毎週掲載から日が経ってしまい、すぐに元のペースに戻れるかどうか分かりませんが、頑張って更新を続けていきたいと思います。
ある町で起きた給付金4630万円の誤振込がニュースで大きく報じられ(「4630万円誤送金騒動がこんなにもややこしい理由」など)、謝罪した町長だけでなくミスをした職員にも大きな批判が集まっています。なぜこのようなミスが起きるのか、再発防止策はないのか。出納部門の仕事紹介として、自分が職員の頃を思い出して述べてみたいと思います。
出納部門の仕事環境は「とても近寄り難い」という印象でした。まず、お金を扱う仕事なのでオープンな場所にはありません。市役所には納税の窓口があり、そこには銀行(指定金融機関)の方がおられ、お金を取り扱っています。また、給料日には職員の給料が現金で渡されていました(かなり昔の話ですが…)。職員の出入りができないわけではありませんが、例えれば銀行に来たお客さんがカウンターを越えるようなものなので、気軽に立ち入れる雰囲気ではありません。
また、当たり前ですが職員も一生懸命仕事をしています。しかも、その大半がチェックなのです。出納部門には、すべての部署からさまざまな支出の伝票が集まります。数千円の文房具から数億円の工事費まで、金額もいろいろです。それらが適切な手続きを経ているか、数字が間違っていないか、あらゆる伝票をすべてチェックしています。そのため、一生懸命仕事をしているということは、ひたすら伝票の確認をしているのです。皆で話し合うような仕事ではなく、むしろ一人一人の職員がそれぞれ伝票と向き合うので、細かく数字をチェックしているので、とても静かですし、話しかけられる雰囲気ではありません。緊張感が漂っていました。
このように、出納部門は職員が気軽に入れるような環境ではなく、おそらく出納部門の職員も息苦しい雰囲気で仕事をしていたのではないかと察します。市役所には多くの市民が訪れ、とても賑やかな様子と比べると「ここだけ別世界」という感じでした。
そういう意味で出納部門は大変な仕事だと思います。ただ、そうした緊張感があったからこそ、職員は誤りなく支払いができたと感謝しなければなりません。私も職員として多くの伝票を作成しましたが、自分がチェックした時にミスを見過ごしていたことが何度かあり、出納部門の職員に指摘してもらいました。膨大なチェックをしている職員の手を止めてしまったことを反省し、ミスに気をつけて仕事をする姿勢が身についたと思っています(今でも資料の確認は丁寧にしています)。
しかし、それでもミスは起きるものです。今回の4630万円は大きく取り上げられましたが、類似のミスは他の自治体でも起きています。限られた人員でしっかりチェックするだけでは、ミスを完全に防ぐことは難しいと思います。やはりデジタルの力をもっと使っていかなければならないでしょう。フロッピーディスクが今回のミスの象徴として注目されていますが、さすがに時代錯誤です。
出納部門の仕事は、これから大きな変化をリードしていくべきものになるのではないか、と予感しています。