土曜日企画「ここで差がつく!地方公務員をめざす学生が知っておきたい最新ニュース」を投稿しました!

このコーナーでは、毎週ツイート・コメントしている最新ニュースの中から1つだけピックアップして、より詳しく解説、意見を述べたいと思います。ツイートをご覧いただくとともに、最新ニュースを知り、小論文や面接で自分の意見を述べるためのヒントとして、活用してください。

今週ピックアップするのは、次のニュースです。
NTT、転勤や単身赴任を段階的に削減 リモートワークで脱・昭和

これに関して、私は次のようにコメントしました。
本社を東京に置きながら地方分散が可能になる。多様な業種に広がれば、東京一極集中の定義や地方の企業誘致の方策も大きく変わる予感がする。

 この記事から多くのことを学べます。非常に幅広く議論を展開できるので、今回は2つの点について絞って意見を述べたいと思います。1つは「どこでも、どこにでも働ける」「ゆったり働ける」という働き方の変化、もう1つは公務員の魅力や政策、働き方への影響についてです。

 まず、「どこでも、どこにでも働ける」という働き方の変化について述べます。前半の「どこでも働ける」というのは、自宅でもオフィスでも自由に仕事ができるということです。これは、コロナ禍で要請された在宅勤務を徹底することで実現します。コロナ禍では外出自粛の一環として出社の7割削減が要請されました。これは大きな変化ですが、裏を返せば3割は出社するということです。コロナ禍の混乱が収束し、ウィズコロナの時代になれば、さすがにこれほどの外出自粛はなくなると思いますが、それでもハイブリッドの方が働き方が普及すると言われています。そこで、例えば半分在宅・半分出勤とか、3割在宅・7割出勤といった形になるでしょう。いずれにしても、少しでも出社する割合が残るのであれば、やはり居住地や通勤時間がネックになります。それが「どこでも働ける」ということになれば、全部在宅も可能になるわけですから通勤の心配が一切いらなくなるわけです。極端に言えば、沖縄に住みながら東京の企業に勤めることも可能になるでしょう。
 次に、「どこにでも働ける」というのは、記事では転勤や単身赴任が不要という取り組みとして紹介されています。ただ、どの職場に勤務することも可能ということなのか、あるいは配属先が変わっても引っ越さなくて済むということなのか、どちらかは分かりません。前者の方がより踏み込んだ改革だと思いますが、おそらく後者ではないかと推測します(調べればわかるかもしれませんが…)。いずれにしても、生活環境に大きな影響を与える引っ越しが不要になるのは、非常に画期的なことです。
 このように、「どこでも、どこにでも働ける」というのは、これまでの働き方、特に居住との関係を大きく変えるものと期待されます。

 次に、「ゆったり働ける」という点について述べます。これには2つの意味があると思います。1つは「地方のゆったりした自宅で仕事ができる」ということです。東京に暮らしていると、給料はそれなりに高いけれども狭くて高い住宅に暮らし、長くて混雑する通勤を毎日強いられます。在宅勤務になれば通勤の負担は減るでしょうが、狭くて高い住宅にいても居場所は限られてしまうので仕事もしづらいでしょう。それが、地方であれば広い自宅に住むことも可能になります。そうすると、大都市と地方は「収入と環境の究極の選択」だったのが、これからは「美味しいところ取り」ができるようになるわけです。
 もう1つは「オフィスがゆったりする」ということです。記事によると、1人当たりのオフィススペースを1.5倍に拡大するようです。在宅勤務が中心となればオフィスは必然的に余裕ができるでしょうし、地方のサテライトオフィスは広いスペースが容易に確保できます。皆が1箇所に集まってワイワイ仕事をすることも楽しいかもしれませんが、集中したい時には都合が悪いでしょう。オフィススペースが広くなれば、時に集まり、時に集中することができます。狭い場所では余裕を持った仕事ができないので、オフィススペースを広くすることは好ましいと言えます。

 次に、これからの公務員の働き方や政策への影響としてこの記事から考えたことを述べたいと思います。
 公務員の魅力の1つに「転勤の心配がない」ということがあります(特に地方公務員)。転勤の必要がなくなれば、公務員の魅力の1要素が失われる可能性があるでしょう。
 次に、政策への影響を考えたいと思います。それは、「ワークライフバランス」から「ワークインライフ」への変化です。「ワークインライフ」という言葉は、この記事で初めて知りました。
 「ワークライフバランス」の背後には「仕事と家庭はトレードオフである」という考え方があると思います。それが、「ワークインライフ」になれば「仕事と家庭は一体のものである」という考えに変わるでしょう。したがって、政策の方向性にも大きな影響を与えると予想されます。例えば、長時間労働の削減や男性の育児参加などは、「仕事か家庭か」という選択の問題です。それが、「家庭なくして仕事なし」という形に変わるわけです。ワークライフバランスという理念のもとに形成されている既存の政策を、ワークインライフの考え方から再構築する必要があるのではないでしょうか。具体的な方策については、これからの議論が待たれます。

 話は少し脱線しますが、最近はこうした変化が多方面で見られます。例えば地球温暖化やマイクロプラスチックの問題は、かつて「環境か経済か」というトレードオフに直面していました。環境対策でコスト競争力が低下してしまう、という懸念です。それが、SDGsやグリーン成長など「環境なくして経済なし」へと見方が変わってきました。つまり、地球環境が持続しないと経済活動さえ成り立たない、ということです。あるいは、コロナ禍で「命か経済か」をめぐる対立が見られます。これも「経済的基盤なくして生活は成り立たない」あるいは「生命があってこそ経済活動が成り立つ」という考え方があります。さまざまな場面でトレードオフの再構築が行われている、というパラダイム転換が生じているのかもしれません。

 話を戻します。次に、公務員の仕事への影響について考えます。公務員は国民や住民の生活を支える役割を担っています。ワークインライフの考え方は、公務員の役割に好ましい影響を与えるのではないでしょうか。
 公務員もまた国民の1人、住民の1人です。ワークライフバランスの考え方では、仕事と生活が分離しているため、仕事が終われば家に帰り、仕事から解放されて自分の時間を過ごすことになります。つまり、自分の時間は仕事からいかに距離を置くかが重視されているわけです。しかし、その時間は生活そのものですから、国民や住民の生活を支える公務員が自分の生活を仕事に活かせないのは、たとえそれがワークライフバランスであるとしても、ちょっともったいないのではないでしょうか。
 それがワークインライフになれば、生活の中で仕事へのヒントを発見し、仕事に生かすことができるようになるでしょう。つまり、公務員が国民の1人、地域住民の1人として生活の中で実感することを、自らの仕事に還元することができるようになるのです。もちろん、公務員は全体の奉仕者ですから、個人的な利益のために仕事をするわけではありません。しかし、国民の目線、市民の感覚を持って仕事をすることは大変重要です。そこで、個人で感じたことを国民・住民の目線で解釈し、仕事に生かせるのであれば、公務員の仕事の質も大いに高まるのではないでしょうか。

 今回紹介した記事は、本当にいろいろな論点があり、これからの政策を大きく変える可能性があります。今後も動向に注目しながら、さらに掘り下げていく機会があると思います。

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