土曜日企画「ここで差がつく!地方公務員をめざす学生が知っておきたい最新ニュース」を投稿しました!

 このコーナーでは、毎週ツイート・コメントしている最新ニュースの中から1つだけピックアップして、より詳しく解説、意見を述べたいと思います。ツイートをご覧いただくとともに、最新ニュースを知り、小論文や面接で自分の意見を述べるためのヒントとして、活用してください。

 今週ピックアップするのは、次のニュースです。

「不夜城」是正、道半ば 「ようやく」「国会の改革必要」 省庁の残業代:朝日新聞デジタル

これに関して、私は次のようにコメントしました。

「マイナスがようやくゼロになったイメージだ」というコメントは、その通りだと思う。ようやくスタート地点に立ったに過ぎない。

 国家公務員総合職の過酷な残業の実態は、私も関心を持ち書籍の紹介もしました(note記事「地方公務員が読んでおきたい書籍の紹介NHK取材班「霞が関のリアル」岩波書店)。試験の倍率が下がり公務員人気に陰りが見えてきているのも、残業の多さが一因でしょう。しかも、この記事から想像されるように、残業しても手当が付かない「サービス残業」が多かったわけです。つまり、タダ働きさせられていることになります。
 「この国のために」という使命感を持って国家公務員になる人は、今なお多くいますが、それに頼って労働環境の改善を放置すれば、ますます人気が下がってしまうと危惧されます。サービス残業によって国民はその分の税金を負担しなくて済むわけですが、それで公務員人気が下がり質の高い人材が確保できなくなるのであれば、そのデメリットも国民が負うことになるため、決して好ましいことではありません。
 今回のニュースは、まずはサービス残業をなくし、残業した分の手当はしっかり支給することを予算として担保する取り組みです。これまでの対応に比べれば、大きな前進と言えるでしょう。学生からの意見でも、「サービス残業なんて今どきありえない!」という声を多く聞くので、それが解消されれば公務員人気も復活するかもしれません。

 しかし、それでこの問題が終わるものではありません。もっと大切なことがあります。それは、「仕事を減らす」ということです。特に問題視されているのは、国会対応です。深夜に書類を作成し、議員に説明に伺う。デジタルやオンラインは、まだ充分に浸透していないようです。
 しかも、国会対応は他律的な仕事なので、公務員が自分のペースで進めることができません。「今日は家族と出かけるので残業せず、明日に回そう。それでも期限に間に合うから大丈夫」という仕事ではなく、「今日までに持って行かなければならないので、家族と出かけるのはキャンセルする」ということになってしまいます。

 残業が多く、しかも逃れられないという実態に、サービス残業を解消するだけでは根本的な解決策にならないことは明らかです。公務員を増やすことができないのならば、仕事を減らしていかなければなりません。
 もちろん、「余計な仕事」「ムダな仕事」なら減らさなければなりません。先の国会対応の中にも、そうしたものはあるでしょう。しかし、人口が減り、税収が減り、高齢化が進み、地方が衰退していくなかで、これまで「必要な仕事」だったものもこれからは見直していかざるをえないと思います。「ムダ」の判断基準は、人によって、時代によって変化します。家計を見直す時も、お母さんから「お父さんのビール代が高いから、減らして!」と言われると、お父さんは「それだけが楽しみだから絶対減らせない。それよりもお母さんの洋服代が高いんじゃないの?」と、喧嘩になるかもしれません。公務員の仕事も、人によってムダなものとムダでないものが違ってきます。これまで公務員の仕事から恩恵を受けてきた人々にとって、減らされては困るものでも、国民全体で議論して、時には妥協して減らしていかざるをえないでしょう。公務員の残業は、そのような大きな問題として捉え、解決していかなければならないと思います。

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