土曜日企画「ここで差がつく!地方公務員をめざす学生が知っておきたい最新ニュース」を投稿しました!

 このコーナーでは、毎週ツイート・コメントしている最新ニュースの中から1つだけピックアップして、より詳しく解説、意見を述べたいと思います。ツイートをご覧いただくとともに、最新ニュースを知り、小論文や面接で自分の意見を述べるためのヒントとして、活用してください。

 今週ピックアップするのは、次のニュースです。

 安倍政権の看板部署廃止 「岸田内閣の政策進める」

 これに関して、私は次のようにコメントしました。

 肝煎(きもいり)の部署はどうしても政治的な性格が出る。新たなトップの意向を反映する新たな体制を固めるために、再編は必要である。

 今日は行政組織についての、ニュースを詳しく述べます。昨日のニュースなので覚えている方も多いでしょう。
 選挙で行政のトップが交代すると、まず行われるのが予算の補正と組織の再編です。いずれも、新しく選ばれたトップの思いを反映させる大切な要素だからです。
 予算の補正は、大規模プロジェクトの追加という形で行われます。選挙で有権者に約束したことを実現するために、必要な支出を確保するのです。
 先週の衆議院総選挙では、自民・公明の与党が引き続き政権を担うことになりました。しかし、岸田政権は始まったばかりで、これまでの安倍・菅政権を引き継ぐばかりではありません。特に「成長と分配」「新しい資本主義」といったキーワードで目新しさを強調しています。新型コロナ対策でも早速、給付金の対象をどうするのか(所得制限をするかどうか)、規模や内容をどうするのか(現金かクーポンか)などで、自民党と公明党が調整(攻防?)しています。いずれも選挙の際に打ち出した公約を守ろうとしながら、調整を進めているようです。こうして決定された内容が補正予算として計上され、実行に移されていきます(しかし、こうしたなかで国会の開会が遅れ、公務員へのボーナス支給に問題が生じてしまうようです。公務員としては、こちらの方が気になるところですが…)。
 地方自治体でも、首長の選挙がある年は「骨格予算」が編成されます。これは、4月から始まる年度の予算(当初予算)は施設の管理や人件費など必要経費だけにして、政策的な判断を要する経費は計上しないという予算編成です。政策的な判断を要する経費については、選挙で選ばれた首長が判断して年度の途中から予算(補正予算)に加わります。これを「肉付け予算」と呼びます。
予算については規模、特に前年度比が重視されますが、骨格予算の年は特殊事情のため比較の意味はありません。肉付けした後の予算で比較することになります。

 次は、組織の再編です。今回のニュースでは「1億総活躍」など、安倍元首相が力を入れた政策を牽引する組織が廃止されました。これらの組織は当然、安倍元首相の存在とリーダーシップがあってこそ機能を発揮したと思います。今回、岸田政権は自民党や内閣の人事などで安倍元首相の影響力が及ばないよう、注意を払っているような報道が見られます。同様に、行政組織でも安倍元首相を象徴する組織を廃止して、岸田政権のカラーを打ち出そうとしているように見えます(有識者で構成された新しい会議が多く誕生しています)。もちろん、長期に及んだ安倍政権で進められた政策がなくなるわけではありません。すでに一定の成果をあげているので、今や特別な組織がなくても問題ない、との判断があると思います。いずれにしても、組織の再編も選挙後に実施されます。

 地方自治体でも同様です。新しい首長のカラーを強調するような組織が生まれます。また、組織全体の見直しも進められ、適切な人員配置が行われますが、これには少し時間がかかるので、当選してすぐではなく新年度から組織体系と人員配置が行われることになります。

 行政組織で働く公務員にとっては、新しいトップの考え方をしっかり理解し、その部下として任務をこなしていかなければなりません。これまで当たり前と思っていたことが通用しなくなる場合もあります。しかし、それが公務員の宿命です(もちろん民間企業でもトップが交代すればこうしたことが起こりますが)。新しいトップの下で、トップの考え方を踏まえて公務員としての任務を全うすることが求められます。

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