ここに注目!公務員が気になるニュース:羽生9段のタイトル挑戦

 このコーナーでは、今週ツイートしたニュース記事の中から特に印象に残った1つをピックアップして、掘り下げてみたいと思います。

 今週は、次の記事を取り上げたいと思います。

 羽生善治九段、藤井聡太王将の挑戦者に 32歳差、タイトル戦初対決

 この記事について、私は次のようなコメントをしました。

 この年齢でタイトル挑戦は、それだけでも偉業。私も同じ歳なので、大いに勇気づけられる。頑張ってください。

 私は将棋が趣味ということはないのですが、羽生9段の活躍は当然知っていました。それが、10年ほど前に出演されていたテレビ番組を見て、前人未到の実績を挙げてこられた方なのに謙虚でユーモアもある、しかも年齢が同じということで応援するようになりました。著書(将棋の本ではなくビジネス書)もほとんど読んでいます。すべてのタイトルで永世(一定期間のタイトル保持など条件を満たすことが必要)の称号を得たことで、国民栄誉賞も受賞されました。

 しかし、タイトルを99期(これも前人未到)獲得した時点で無冠となり、しばらくタイトルから遠ざかっている状況にあります。50歳を超えて勝率も低下傾向にあり、加えて藤井5冠を筆頭とする若手の台頭で、最近は苦戦しているように見えました。テレビ番組でも、苦闘の様子が放送されています。

 それが、今年に入って調子を上げ、久しぶりにタイトル挑戦の機会を獲得、しかも相手は藤井5冠と、通算100期を飾るには絶好の舞台が整ったわけです。今後、こうしたチャンスに以前ほど恵まれないかもしれないので、勝利を願って応援しています。

 公務員というテーマでこのことを考えてみると、公務員は年功序列です。つまり、年上の方がポジションが上になります。その前提として、年長者がチーム(各部署の仕事)をまとめることで、秩序と結束が生まれること、経験を重ねることで仕事のパフォーマンスが高まること、などが考えられます。確かに、そうした面はあるでしょう。

 しかし、将棋は完全実力制。親子ほどの差がある羽生9段と藤井5冠でも、ガチンコ勝負です(師弟対決でも同じ)。そして、2人の最近の成績からも分かるように、歳を重ねていくとパフォーマンスが低下していきます。50歳というのは、大きな壁になっているようです。羽生9段も、藤井5冠と同じように若手の頃に一気に勝ち上がり、95年には7冠独占という偉業を成し遂げました。

 このように、同じルールの下では年齢がパフォーマンスを大きく左右します。公務員の仕事も年功序列ではなく、パフォーマンスで評価するようにすれば、若手の方が圧倒的に高いのかもしれません。ベテランだから、ポジションが上だからと、若手に指示を与えて仕事をさせているのでは、むしろ公務員全体の仕事の質が高まらない可能性もあるかもしれません(学生にも、この年功序列は評判が良くありません)。

 私は、年功序列を完全に破壊するのは容易ではないと考えていて、若手とベテランが相互に姿勢を変えることが大切だと思います。まず、若手は遠慮することなく新しいことにどんどんチャレンジしてほしいです。年上の上司に相談することは大切ですが、上司が前向きでなかったとしても諦めることなく粘り強く説得してほしいと思います。

 そして、上司の姿勢も重要です(むしろこちらの方が大切)。年下の部下をリスペクトし、積極的な姿勢を引き出すことに力を入れてほしいと思います。上司は自らチャレンジしたがらない人が多く、部下にも大人しくしてほしいと思っているのではないでしょうか。しかし、それでは上司失格です。変化が激しい世の中で、自ら変わっていかなければ仕事が成り立たなくなるからです。衰えた自分が満足するパフォーマンスを発揮できないのであれば、部下の力を引き出すことが求められると思います。

 将棋の世界と公務員の世界は決して同じではありませんが、身近なニュースから、公務員の仕事について考えてみました。参考になれば幸いです。

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