ここに注目!公務員が気になるニュース:補助金の削減の難しさと大切さ

 このコーナーでは、今週ツイートしたニュース記事の中から特に印象に残った1つをピックアップして、掘り下げてみたいと思います。
 今週は、次の記事を取り上げたいと思います。

補助金事業の費用対効果は?大田原市が見直しに向け委員会

 この記事について、私は次のようなコメントをしました。

 以前は一律削減をして「みんなで耐える」発想だった。今は費用対効果から個別に判断することが中心。容易ではないが、それが本来のあり方だと思う。

 自治体は国から補助金を受け取っているだけでなく、住民や企業・団体に対して多額の補助金を支出しています。しかも、いったん開始された補助制度は途中で廃止することは難しく、多くの制度が乱立している状態と言えるでしょう。自治体の財政が厳しくなってくると、経費節減のために補助金の削減をどうするかが課題となります。

 とはいえ、補助金は相手がいるため、廃止や削減は容易ではありません。補助金を受け取ってきた住民や企業・団体には貴重な収入となっているので、大きな影響が生じるからです。しかも、一部の住民や企業・団体だけが補助金を削減された場合、「なぜ自分だけ?」と憤りの気持ちが生まれてしまいます。仮に削減されることをやむを得ない(影響はそれほど大きくない)と分かっていても、心は穏やかでないでしょう。

 そこで、これまでは補助金の削減を一律で行うケースが主流でした。「みんなに削減をお願いしています」ということなら、むしろ自分だけ逃れることは許されない、皆が我慢するなら自分も我慢しよう、ということで最も円滑で公平な方法として行われてきたのだと思います。

 しかし、それでは本当に必要な補助金さえも削減されることになるので、公平であっても効果的ではないのです。そのため、必要性を客観的かつ合理的に見きわめるプロセスが求められます。そこで、補助金の削減を審査する専門の外部委員会を立ち上げて個別に判断するのです。そして、審査の過程や結果を公表することによって、行政機関内部で判断するよりも透明で公正なものとして、削減される住民や企業・団体も受け入れざるをえない形になります。

 とはいっても、補助金の種類は無数にあり、ひとつひとつを丹念に審査することは困難です。外部委員会を頻繁に開催することはできませんし、書類や短いヒアリングだけで正しい判断ができるとは限りません。ある程度ターゲットを絞り(補助金の金額が大きいもの、など)、重点的に審査することになるでしょう。そして、それらの審査から得られた示唆や課題などを整理し、他の補助金にも適用することをルール化するなどの方法で、補助金全体の削減・合理化を実現することになります。

 補助金は、ともすれば時間の経過とともに目的が変化したり、対象が拡大したり、新たな制度が創設されたりします。また、削減の判断が下された場合でも、相手の立場や意見を聞いて時間をかけて削減していくなどの対応がとられることもあります。そこで、審査も定期的に行う必要があります。今後、さらに多くの自治体でこのような審査の仕組みが立ち上がり、定期的に行われることになっていくと思われます。

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