ここに注目!公務員が気になるニュース:東京の出生率がさらに低下したことについて

 このコーナーでは、今週ツイートしたニュース記事の中から特に印象に残った1つをピックアップして、掘り下げてみたいと思います。
 今週は、次の記事を取り上げたいと思います。

東京都の出生率1.08 5年連続で低下 出生数は6年連続減少

 この記事について、私は次のようなコメントをしました。

全国一律的に下がる出生率。若者が集まる東京都の低下も大きい。

 東京都は大手の大学や企業が集積しており、進学や就職のために多くの若者が集まってきます。特に地方から上京する場合、地方に人口減少をもたらすことになるため、地方の衰退を招く要因にもなっています。国全体で進められている地方創生も、東京一極集中の是正を大きな目標としていますが、思うような結果が得られていません。

 しかも、このような若者の移動は日本の人口減少に拍車をかけると指摘されています。地方の方が子育てしやすい(保育園が確保しやすい、住環境が良い、祖父母に面倒を見てもらえる・・・など)ため、出生率も地方の方が東京よりも高いのです。つまり、若者が地方から東京に移動すると、子どもを産む環境が悪化するため出生率の低下を加速させてしまうので、「移動だけなら人は減らない」とも言えない事態を招いていることになります。

 今回の記事は、その傾向がさらに進んでいることを感じさせます。東京都の出生率は何と1.08で、全国平均よりも2割ほど低い水準です。しかも、23区のうち6区で出生率が1を下回っています(最低は豊島区の0.93)。人口を維持するために必要な出生率は2.07と言われているので、一部の区ではその半分にも満たないことになるのです。

 私の場合、福井県から東京都に引っ越してきました。子どもたちは福井県で幼少期を過ごし、東京都では小学校高学年からなので、子育ての環境として不足を感じる機会はあまりありませんでした。しかし、福井県のような地方の子育て環境を東京都で実現することは不可能でしょう。親が子どもを見る時間も限られますし、自宅も狭い。保育園に預けても、リヤカーのような乗り物で移動している園児を見ると可哀想な気がします(安全確保のためやむを得ないのですが・・・)。そんなことが、東京都の低い出生率に少しずつ影響しているのではないか、と感じます。

 東京は日本の首都であり、経済活動の中心です。その意味で、東京は日本の活力を生み出しているのでしょうが、長い目で見れば日本の地盤沈下をもたらしているのも東京なのかもしれません。元気で持続可能な日本を次世代に引き継いでいくために、東京や地方はどうあるべきなのかを、この記事から考えさせられます。そして、少しずつ考える時間が減っていることも感じざるをえないのです。

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