連載企画:リアル体験!地方公務員の仕事紹介「同期は「生涯の仲間」」
地方公務員として採用され、初めての部署に配属されてしばらく経つと、研修を受けることになります。もちろん難関の公務員試験を突破するだけの知識や思考力はあるのでしょうが、仕事に直結するノウハウや地域ごとの特徴など、新たに習得すべきことはたくさんあるので、それを身につけないと仕事を進めることはできません。そこで、採用後すぐに研修を受けることになります。
私も30年前に研修を受けましたが、メニューは各種制度(地方自治、地方財政、地方公務員など)の基礎知識から、その地域の特徴(重点政策や予算など)を学びます。自治体の担当職員の方が講師として教えてくれます(私も講師の経験をしました)。また、グループワークなども行い、公務員として必要な協調性などを身に付けます。
大学の講義やゼミと内容は同じかもしれませんが、受講の姿勢は大きく変わるはずです。なぜなら「仕事」「プロフェッショナル」として受講するからです。唐突な話ですが、公務員の給料は税金から支払われます。研修も勤務ですから、給料の支給対象です。初任給を25万円とすれば、1日1万円以上の税金を住民や企業が負担していることになります。1日みっちり研修を受けて、1万円の税金を堂々と受け取れるだけの成果をあげる必要があるでしょう。そう考えると、大学の講義やゼミと同じ姿勢ではいられなくなると思います。
一方、研修は同期職員が一同に会する、きわめて少ないチャンスです。私も30年前に、同期職員で電車に乗って県の研修所まで1週間ほど通いました。それ以来、同期全員が仕事で集まる機会は結局、ありませんでした。仕事で同じ部署に配属されることや同じ仕事に一緒に取り組むケースもありますが、あくまで個別のつながりです。
学校でも同級生やゼミ生での連帯感が生まれますが、地方公務員でも同期は仲間であり、ライバルでもあります。互いに刺激し合いながら一緒に成長していく存在です。困った時には助けてくれることもあるでしょう。最初の研修は、地方公務員として基礎的な素養を身につける第一歩であると同時に、同期が一同に介してその後のつながりを作る最初で最後のチャンスとなるものです。非常に貴重な機会なので、今後の財産になるよう大切に過ごしてください。