連載企画:誰でも無理なく合格できる!公務員試験の勉強術(第10回)「公務員試験も面接重視の傾向にあるが・・・」

 「公務員試験の勉強が大変だから、公務員になるのを断念する」という学生からの声があります。確かに、1年近くの時間をかけて勉強するのは、大学生としては負担が大きいでしょうし、内定が決まるのも民間企業志望の学生に比べると遅いので、あえて公務員試験を受けるメリットは、よほど公務員になりたい方でなければ小さくなっているのかもしれません。

 こうした事情と同時進行の形で、面接試験のウェイトが高くなっています。かつて(私が公務員試験を受験した30年前)は、1次試験の筆記が通ればほぼ採用、と言っても良いくらいの状況でした。面接には採用予定数とほぼ同じ人数しか呼ばれなかったので、面接で落ちるということはまずなかったのです。しかし、今は採用予定数の数倍の学生が面接試験を受けるようになったので、面接で落ちてしまう学生も多いのが実態のようです。

 確かに、面接試験のウェイトは筆記試験の数倍という高さに設定されていたり、リセット方式(最終合格の判定では1次試験の結果を加味しない)によるケースも多いようです。公務員試験の準備は今なお1次試験の勉強が多いと思いますので、学生の対策が追いついていない、と言ってもいい状況かもしれません。

 ここからは私自身の考えですが、面接重視なのは人物重視で公務員に必要な人物を採用するには良い面もあると思いますし、予備校の広がりで1次試験対策が十分になされるようになったことも背景にあると思います。しかし、1次試験は公務員に必要な職務遂行能力を測るために必要なのに、試験対策で得た能力が職務遂行に活かされていない、という問題もあるように思うのです。

 国家公務員と地方公務員の1次試験は、難易度の違いはあっても試験科目や問題形式は似ています。つまり、公務員として求められる能力に大きな違いはない、と想定されていると考えられます。しかし、特に地方公務員の場合、せっかく試験勉強で得た知識や思考力は、仕事に使われることはあまりないのではないか。本当は使うべきなのに・・・と考えさせられるのです。

 法律や行政分野の科目は、他に比べれば実践的ではありますが、例えば学者の学説は仕事には直結しません。また、経済分野でも理論的なことは仕事で使うことはないでしょう。しかし、こうした科目・分野こそ、これからの地方公務員にとって必要なのではないか、特にリスキリングが叫ばれている中で地方公務員に必要な学びではないか、と思うのです。

 繰り返しますが、公務員試験で面接重視の傾向は悪いことではありません。しかし、それが筆記試験軽視の傾向にもなっているとすれば、決して好ましいとは思えません。地方公務員の仕事を、1次試験の成果が出せるようなものにしていかなければならない、と思います。

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