連載企画:リアル体験!地方公務員の仕事紹介「ニックネームの功と罪」

 私は30年ほど前に地方公務員になりました。配属された部署の先輩に初めて挨拶した時、初対面にもかかわらず、すぐにニックネームを付けてくださいました。とは言ってもシンプルなもので「タケちゃん」でした。それからというもの、私は「タケちゃん」として、先輩方に温かく接していただきました。チームの一員として、すぐに受け入れていただいたことに感謝しています。

 先輩方にも、ニックネームはありました。もちろん私にとっては歳上なので、それで呼ぶことはありませんでしたが、高校や大学ほど年齢や上下関係には厳しくなく、多くのケースではニックネームが使われていたと記憶しています(地域や所属先、相手によって異なると思いますが・・・)。いずれにしても、ニックネームは人の距離を近づけ、コミュニケーションを円滑にしてくれるツールとして効果があると感じました。

 WBC(ワールド・ベースボール・クラシック)で日本が優勝した感動は今なお記憶に新しいですが、そのドキュメンタリー映像を見ると、栗山監督も「ムネ(ヤクルトの村上宗隆選手」や「ダル(サンディエゴ・パドレスのダルビッシュ有選手)」など、ニックネームを使って選手との距離を縮めているシーンが多く登場します。優勝後、栗山監督が理想の上司として評価されるようになったのも、こうした選手との関係づくりが良かったからでしょう。

 このように、ニックネームにはチーム内でのコミュニケーションを円滑にし、チームワークを高める点で効果があると思います。つまり、ニックネームの功の部分です。ただ、ニックネームにも気をつけないと逆効果になる、つまりコミュニケーションに亀裂が生じる可能性もあるので、罪の部分にも注意が必要になります。時代によっても変わってくるので、特に上司となるベテラン職員には配慮が求められます。

 例えば、異性から名前で呼ばれることです。厳密に言えば私の「タケちゃん」も女性の先輩から呼ばれたこともあるので、そうなのかもしれませんが、私自身はまったく気になりませんでした。ただ、「ちゃん」もなく「武史!」と呼ばれれば、親に怒られているみたいで、落ち着きません。ある人から「タケ」と呼ばれたことはありますが、栗山監督から「ムネ」と呼ばれる村上宗隆選手と同じで、団結と上司への信頼があれば何の問題もありません。しかし、そうした土台もなく、いきなり名前だけ、しかも異性から呼ばれるのは、今は避けた方が無難かもしれません。私も、後輩職員には全員「〇〇さん」と呼んでいました。少しよそよそしい感じはありますが、コミュニケーションはスムーズにできたと思います。

 地方公務員の仕事は、チームワークが重要です。時代や雰囲気に合った形でチームワークを高める工夫、必要ならばニックネームを使うことを考えるのが大切になります。

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