金曜コラム「文章、プレゼンの基礎」第20回:ケアレスミスに気を付ける

 タイトルだけを見るとごく当たり前のことのように思えるかもしれませんが、意外に大きな差がつくのがケアレスミスの有無です。むしろ、ケアレスミスは気づきやすいだけに、これが目立った場合「他の部分もしっかりと確認していないのではないか」という疑念を招いて印象を悪くしてしまいます。また、誰が見てもミスなので減点もしやすいです。したがって、色々な視点で見て誰かが内容を高く評価した場合でも、ケアレスミスだけは誰からも減点されてしまいます。さらに、書いた本人にとってもケアレスミスで減点され、その結果不合格に終わってしまった場合には大きな悔いが残ります。ケアレスミスに気をつけることは、実は大変重要なことなのです。

 では、ケアレスミスにはどのようなものがあるのでしょうか。まず、段落の始めに1文字を下げない、ということです。最近ではスマートフォンでの入力が普通になっているため、段落の始めに文字を下げる習慣が少なくなっています。その結果、レポートにも同じような習慣で書いてしまうのです。しかし、手書きの文章、特に原稿用紙を使う場合には、段落の始めに文字を下げないと減点の対象になる場合があります。文章全体を通して段落を下げないと、大きな減点になるかもしれないので、注意が必要です。

 次に、誤字や脱字です。これは、もう言うまでもありません。漢字や送り仮名を間違えたりすると、減点の対象になる場合があります。これもスマートフォンでの入力が普通になってくると 意識する機会も減ってしまうので、注意しましょう。

 また、意外に見受けられるのは、「ですます調」と「である調」の混在です。これも作文などの機会で学んだことと思いますが、今なお散見されます。どちらかに統一しなければなりませんし、できれば「である調」の方が良いでしょう。

 なお、ケアレスミスではありませんが、作文にはふさわしくない表現にも気をつけたいです。例えば、過度な略語です。「バイト」「就活」は「アルバイト」「就職活動」の方が望ましいと思います。学生同士の会話ならば略語でも構いませんが、作文には使わない方が無難なものもあります。判断はお任せしますが、採点側である大人が日常で使わない略語は避けた方が良いでしょう(「スマホ」か「スマートフォン」かは難しいところです。スマホでも良いような気もします)。

 また、「どんどん」「やっぱり」など会話では普通に使われる表現でも、作文には使わない方が無難なものがあります。これらは「急激に」「やはり」など作文らしい表現にした方が良いでしょう。また、年号などでも西暦(例:2020年)で表示しているところと年号(例:令和2年)で表示しているところや、「住民」「市民」など実質的に同じ内容がバラバラな表現になっているところがあれば、どちらかに統一しておく必要があります。

 最後に、細かいですが、「上昇」と「増加」が違うことにも注意してください。例えば、人口についての考察を見ると、「高齢者数が上昇している」と書かれているものを見ますが、正しくは「高齢者数が増加している」です。ニュアンスは伝わりますが、適切な言葉ではありません(「高齢化率が上昇している」という表現は正しいです)。

 このように、作文ではケアレスミスで減点されることのないよう、注意深く確認してください。文章が完成してホッとしてしまうと、つい見落としてしまうことがありますので、最後まで慎重に確認しましょう。

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