金曜コラム「私が学んできたこと」第5回:体・技・心
どのような分野でも、個人が持っている力を最大限に発揮するためには、「心・技・体」すべてが整っていないといけない、と言われる。仕事で言えば、仕事に打ち込む情熱(心)、質の高い仕事を遂行できる能力(技)、健康で体調が良いこと(体)が揃って、初めて高いパフォーマンスが発揮できる、ということであろう。スポーツに使われることが多い言葉だが、仕事にも当てはまる。
しかし、優先順位を考えると、実は「体・技・心」だという。大学生の時、応援していたスポーツ選手が言っていた言葉で、思い出深い名言である。どんなに水準の高い技を持っていても、また強い情熱を持っていても、それを発揮できる体がなければ何もならない。また、「健全な肉体に健全な精神が宿る」とも言われるように、体は技や心を高めていく土台でもあるから、本番だけでなく鍛錬の場でも体が最も重要、ということでもある。
今や自分がスポーツをすることはほとんどなくなったが、大学教員として仕事をしていても、また公務員の仕事でも「体・技・心」の順で重要、ということはその通りであると感じる。忙しい仕事が続いて疲労が蓄積すると、どんなに能力と情熱があっても体力が持たないと仕事に打ち込めなくなってくる。残業や研究プロジェクトで過密スケジュールをこなさなければならないほど、最後は体力勝負である。すぐれた公務員やや研究者は、実は超人のような体力の持ち主でもある、と感じている。
私は、何もきついトレーニングをするよう勧めているのではない。例えば、デスクワークの時などに姿勢を保てるかどうかが仕事の能率を左右する。つまり、背筋を伸ばす筋力である。また、仕事はスタートダッシュをして後はダラダラするよりも全体のペース配分が大切であり、疲れが出てくる夕方の時間帯に頑張れる(ラストスパートが素晴らしい)職員は、仕事ができる人と認識される。まず、体のケアや体調管理をしっかりできる人が、公務員の世界のプロフェッショナルだと思う。