金曜コラム「文章、プレゼンの基礎」第5回:プレゼン資料の分量に注意
今回は、プレゼンテーションの時に気をつけることを述べたいと思います。
プレゼンテーションでは、時間制限の中で自分が伝えたいことを述べます。与えられる時間は5分程度の短い場合もあれば、30分くらいのこともあります。ちなみに、大学の講義は90分です(講義とプレゼンテーションは必ずしも同じではありませんが、プレゼンテーションのテクニックは講義で使えるものも多くあります)。
そして、ほとんどの場合は資料やスライドを使います。資料を画面や紙で見てもらいながら説明するスタイルが一般的です。
気をつけなければならないことは、資料を作り過ぎないことです。プレゼンテーションで話をする人は、途中で話が途切れたりしないかどうか、大きな不安を感じています。そのため、資料に多めの情報を入れがちになります。情報が多ければ、話すことがなくなって詰まることが起きにくくなり、不安が緩和されるからです。私も、講義や講演では資料を多めに作りがちでした。
しかし、それは良いことばかりではありません。それは、話が速くなり、説明っぽくなってしまうことです。せっかく用意したことを全部説明しようとして、話すことスピードが上がってしまったり、時間が半分経過したのに資料は3分の1しか進まず後半に慌ててしまいます。そのため、言わなければいけない内容をとにかく話すことに力が入ってしまい、「伝える」ということが置き去りになってしまいます。
そこで、資料作りはリハーサルまで入念に行ってから完成させることをススメます。制限時間内でどこまで話せるかを把握し、その範囲に資料の内容を絞った方が良いでしょう。しかし、リハーサルを丹念にすることは時間がかかります。そこで、もう1つの方法として、資料の内容は多めにしておいて、話す内容の優先順位を決めておき、本番の説明で途中経過ど残り時間を踏まえて優先順位の高い順に話をしていけば良いと思います。例えば、前半で資料があまり進まなければ、後半は優先順位が高い大切な部分に絞って話してスピードアップを図りましょう。早口ですべて話すより、ゆっくりと絞って話す方が伝わります。逆に、前半で資料が予想以上に進んだら、後半は優先順位の低い部分も含めてゆっくり話せば良いと思います。
ただし、緊張しながら人前で話し、同時に咄嗟の時間調整をすることは簡単ではありません。最初のうちは、話のリハーサルまで行って資料を完成させた方が良いと思います。
ちなみに、私の場合も講義資料は多めに作っていましたが、最近になってようやく絞れるようになりました。1年間で90分講義を200回以上している私でも、ようやく少しずつ減らせるようになってきました。