日曜コラム「マイ・オピニオン」第23回:「人道の港敦賀ムゼウム」がまもなくオープンします
私が長らく暮らしていた福井県敦賀市で新たな施設「人道の港敦賀ムゼウム」がまもなくオープンします。また、中心市街地を通る国道8号線も2車線化されて歩道が格段に広がったので、ここに人の賑わいを創出するためのイベントが行われました。
あと2年半で北陸新幹線が敦賀まで延伸され、関東圏とのアクセスが非常に良くなります。これまでは北陸本線で米原駅まで行き、東海道新幹線で東京に向かうルートが主でした。しかし、北陸新幹線が開業すると乗り換えなしで東京と結ばれます。
これは、敦賀にとって単なるアクセスの向上だけではありません。日本海側で最も早く鉄道が整備され、東京と結ぶ欧亜国際連絡列車も走っていました。名前からも分かるように、敦賀は東京とヨーロッパを結ぶルートの、日本の玄関口だったのです。北陸新幹線はすでに富山や金沢まで通ってますが、敦賀延伸はかつてのアクセスが戻ってきた、とも言えるでしょう。
人道の港敦賀ムゼウムも、欧亜国際連絡列車が走っていたことが背景にあります。ユダヤ人難民の逃避先として日本の外交官杉原千畝氏が国の指示に反して人道の見地から発行した「命のビザ」によって難を逃れることができたのですが、日本の玄関口となったのが敦賀なのです。彼らにとって敦賀は天国に見えた、とも言われています。
また、ムゼウムは彼らを温かく迎えた市民をたたえ、先達の存在に誇りを持ち人道の大切さを訴えるための施設とも言えます。同時に、北陸新幹線開業の受け皿として、多くの観光客が訪れると期待されます。
ちょうど私が暮らしていた頃に地域の歴史研究団体による調査が行われ、ムゼウムが開館しました。当初は県が所有する港の休憩所を間借りしていたのですが、多くの方が訪れ市の貴重な財産として認知されたこと、北陸新幹線の敦賀開業を控えていることをきっかけに、国の補助を得て整備されることになりました。
すでに賑わっている赤レンガ倉庫を含め、港周辺の活気がさらに出てくると期待しています。