土曜コラム「今週のニュース」第28回:「男女共同参画」の新しい段階

 今週も多くのニュースにコメントをしましたが、今回は次のニュースを改めて取りあげたいと思います。

ジェンダー政策、若者から要望 「多様な性、想定して」

 このニュースについて、私は次のようにコメントをしました。

男女共同参画という言葉自体を見直す時期かもしれない。

 男女共同参画の取り組みはすでに30年近くにわたって進められています。「男は仕事、女は家庭」という言葉に象徴されるように、性別に囚われた役割分担の固定化を打破することが模索されてきました。

 女性が仕事で活躍しやすい環境を整備すること、特に管理職に占める女性の割合を高めることに重点が置かれてきました。また、地区においても女性リーダーや役員就任を要請することなども行なわれています。もちろん男性についても 「イクメン」という言葉が注目されたように、男性が育児や家事に積極的に参加すること、事業所において男性が育児休業を取得しやすい環境を整備することなどの取り組みも行われています。

 こうした取り組みを進めることによって、「ワーク・ライフ・バランス」つまり仕事と家庭の両立を男女ともに図ることが良いとされてきました。もちろん家庭によってさまざまな形があると思いますが、性別に囚われて役割分担を固定することなく、家庭の中で十分なコミュニケーションをとり、お互い納得した上での形であれば問題ありません。

 しかし、最近になってこうした男女の枠にとらわれないものが認識されるようになってきました。例えば、アンケート調査などでも性別を問われる項目は普通にありますが、「男・女」だけでなく「その他」といった項目があったります。また、トイレでも男性用、女性用という従来の区別にはないものもあり、様々な性に対する対応が各地で見られるようになってきています。

 こうした人たちが気持ちよく暮らせるようにするためには、あらゆる人々が性別による役割分担の固定というだけでなく、性別そのものも外見などで判断せず、内面も含めて接していく姿勢が求められます。

 新聞記事を読んでいると、選択的夫婦別姓や同性婚といった最近の動きにも触れられています。同性婚は現状は認められていませんが、パートナーシップ制度という形で婚姻と同等の取り扱いをする取り組みも地域によって進められています。

 こうしたことを考えると男女共同参画が新たな段階に到達した、というよりも男女共同参画と言う言葉自体を見直すべき時期が、まもなくやってくるのではないか、と感じます。

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