金曜コラム「文章、プレゼンの基礎」第19回:文章の小見出しを付け、流れが分かりやすいように配慮する
特に数万文字単位の長い文章を書く場合には章の構成も大切ですが、章よりも細かい節やさらに細かい単位で小見出しを付けておくと良いと思います。
メリットとして、流れがつかみやすいという点があります。高速道路で長距離の旅行をする場合、自分が今どの地点を走っているのか、目的地に対してどのくらい進んだのかが分からないと、異常に長く感じたり不安に思ったりすることがあると思います。それと同じように、長い文章を読む場合にも最終的に何を結論としているのか、そのために今どの段階まで進んでいるのかが明確な方が、読んでいる側も不安なく読み進めることができます。つまり、流れをつかむことが容易になるのです。小見出しはその流れを一目で表すキーワードとなります。
読み手は、さまざまな読み方をします。重要なところだけ丹念に読んだり、全体を通してサッと流したりするなど、使える時間の長さや自分にとっての重要度などによって読み方を変化させるものです。そこでコマメに小見出しを付ければ、その部分をどのくらい丹念に読めばよいのかを瞬時に判断することができます。特に大切なところは本文をゆっくり読むでしょうし、そうでない部分は小見出しを見たうえで全体をサッと流す読み方になると思います。読む側がそういったコントロールが出来るということも、文章の大切なポイントだと思います。
注意点としては、小見出しを本文にしないことです。例えば、小見出しを「〇〇市が活性化することは可能か」とした場合、本文を「私は可能だと思う」などとすれば、小見出しが本文の一部のようになっています。しかし、小見出しはあくまでもタイトルで、本文ではありません。ここでは、「〇〇市が活性化することは可能か」という小見出しを付けた場合、本文は繰り返しになりますが次のように書き始めることが必要と思います。「これまで、〇〇について述べてきた。そこで、次に〇〇市が活性化することは可能かどうかを考えていきたい。私は、可能だと思う」。このように書くことで、本文は本文として独立して成立するものとなります。
もう1つメリットを述べたいと思います。それは、書く側のマイルストーンにしやすいということです。数万文字単位の長い文章を書く場合、一気に書き進めることは困難です。少しずつ書いていくことの積み重ねが最後に1つの文章として出来上がる形になります。そして、その積み重ねとは細かい1つ1つの単位として扱うことにより、文章を書く際の区切りにもなるのです。例えば、3万字の文章を書こうとすると、1000字で1つの小見出しをつければ、それを30個作ることで3万字に到達します。そこで、30個の小見出しのうち3個できれば6分の1が進んだことになりますし、10個できれば3分の1進んだことになります。ちょうどマラソンの5キロ地点、10キロ地点…といったような区切りです。小見出しを付けることによって、書く側にも進捗がが見やすくなるというメリットがあります。
このように、特に長い文章を書く場合は小見出しをこまめにつけておくことをオススメします。