日曜コラム「マイ・オピニオン」第34回:オンライン会議で感じる意外なメリットとデメリット

 新型コロナウィルスの影響でテレワークやオンライン会議が広く導入され、最初は戸惑いもあったものの徐々にメリットも分かってくるようになりました。同時に、デメリットが決してないわけではなく、従来型のスタイルにも良いところがあることも確かです。これらの点については、様々なサイトで紹介されているので私もそうした記事をよく読みますが、ここではそうしたサイトにあまり触れられることのない(と私が感じている)、テレワークやオンライン会議のメリットとデメリットを2つずつ述べてみたいと思います。

 まず、メリットですが、第1に、ペーパーレス化の加速があると思います。これまでも、ペーパーレス化は進んできましたが、特にオンライン会議の場合は紙の資料が必要と感じることが減りました。特に、大人数でプロジェクターなどを使う従来の会議では、やはり手元に紙の資料が手元にあった方が細かい文字などを確認することができるので紙が必要でした。しかし、オンライン会議では自分のパソコンを使うので画面の文字も容易に確認できます。

 ※メモを取る時や資料のページを進めたい(戻したい)時などは依然として紙が必要になるかもしれませんが、手書き入力ができるipadなども安くなってきているので、それも徐々に解消すると思います。

 自宅からのテレワークやオンライン会議では紙がスペースを取ったり、自宅にプリンターが必要になったり、会社から重い紙の資料を持ち帰ったりしなければなりませんが、紙がなければそうしたことも必要ないので、ペーパレス化の加速はテレワークやオンライン会議の大きなメリットだと思います。

 次に、メリハリが付けられることです。テレワークの導入によってオンとオフの区別がつきにくいというデメリットもあるようですが、少なくともオンライン会議では終わった後に回線を切断すればすぐに次の仕事に移れます。対面の会議では、終わった後に残ってついつい雑談してしまうこともあるので(もちろん雑談にもそれなりの意味があると思います)、そうしたことはなくなります。

 こうしたメリットは、あまり取りあげられることがないように思いますが、私の少ない経験から実感しているものです。

 一方、デメリットについては、まず、目線が合わないために伝える力が弱まってしまうことです。特に、プレゼンテーションなどをする場合は、スライドと音声、プレゼンターの顔を画面から確認することができますが、どうしても目線が合いません。そのため、お互いに「伝えている」「伝えられている」ということを実感しづらいのではないでしょうか。パソコンやスマートフォンは画面の上にカメラが付いていますが、カメラを見て話す人は少ないと思います。また適度に視線を移すこともプレゼンテーションでは重要ですが、オンラインの場合にはそれもできません。そのため、伝える側は「特に伝えたいことを」「特に伝えたい人に」伝えることが難しく、聞く方も「特に聞いておくべきことが何か」を目線から察することができず、「伝える」「伝わる」の両面で対面よりもハンディキャップがあると思います。

 次に、対面とオンラインのハイブリッドで会議などを行う場合、会場と受信者の両方の負担が大きくなってしまうことです。オンラインだけで行う場合はそれほどの負担になりませんが、ハイブリッドの場合には負担が大きいと思います。会場の方は対面の会議の準備・進行に加えてオンラインでの設営の両方が必要になりますし、受信者は会場での会議を受け身の形で参加せざるをえなくなるからです。もちろん、対面で行える人にとっては対面の方が良いわけですし、オンラインで参加せざるを得ない人の事情もあるため、全体としてハイブリッド型が必ずしも悪いわけではありません。

 いずれにしても、テレワークやオンライン会議はメリットもデメリットもあるものの、新しい生活様式の中で一定の役割を果たしていくと思います。これまでの働き方に新たな方策が加わることで、いろいろなメリットとデメリットを吟味し、両方のメリットを最大限生かせるような働き方が実現してほしいと思います。

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