土曜コラム「今週後半のニュース」第37回:行政事業レビューの本当の成果は?
今週の後半も多くのニュースにコメントをしましたが、今回は次のニュースを改めて取りあげたいと思います。
20年秋の行政事業レビューで1263億円削減 河野氏「一定の効果出た」
※なお、この記事は今朝のニュースで見て、何度かツイートしようとしたのですがうまくいかず、ツイートがされていないかもしれません。しかし、ここでは一応ツイートしたことにして話を進めたいと思います。
このニュースについて、私は次のようにコメントをしました。
削減よりも「国民目線」「価値の創造」の方が重要かもしれない。国民から見て価値のある事業には進んで納税するのではないか。
行政事業レビューというと聞きなれないものですが、かつて民主党政権の頃に「事業仕分け」が行われ、当時の蓮舫大臣からの「2位じゃダメなんでしょうか?」というコメントが注目されました。事業仕分けでは国が実施している事業を国民の目線で見直し、経費の削減をめざそうというものです。当時は政治家や国民(有識者)からの鋭いツッコミに官僚がタジタジになり「スカッとした」などという反応が見られ高く評価されました。
行政事業レビューはそこまで派手なものではありませんが、やはり国民目線で事業を評価することで、特に今年は河野担当大臣自身が政治家として注目されているためか、再びニュースに取り上げられたものと思います。
今回の記事は、レビューの結果、昨年より多い1263億円の経費削減が実現したことを報じています。同時に大臣のコメントを「無駄削減はもとより国民目線で価値を創造していく観点から事業の背景、意義を議論した。一定の効果が出た」と報じています。タイトルでは経費の削減が紹介されていますが、私は「国民目線」「価値の創造」に着目しました。
なぜかと言えば、無駄の削減も大切ですが、長い目で見れば「国民目線」「価値の創造」の方が重要になると考えられるからです。日本の財政赤字は世界最悪と言われ、健全化のために消費税をさらに引き上げる必要があると言われています。しかし、これまでの経緯から分かるように国民は引き上げに強い拒否感を示し、選挙で何度も引き上げが延ばされてきたのです。
財政健全化を図るためには、納税者である国民がサービスの価値を認めることが大前提だと思います。例えば、自動車なら数百万円の価格でも良いものには喜んで支払うわけですが、ペットボトルのお茶500mlに良いものでも5,000円も支払う人はいないでしょう。私たちは、モノやサービスには見合う価値に応じて支払うかどうかを決めています。税もその点は同じで(税なのでサービス全体に対する公平な負担となりますが)、価値を認めるものであれば引き上げも前向きに受け入れられるはずです(ここでは関係ありませんが、ふるさと納税が返礼品競争に陥る一因もこの点にあると考えています)。
なので、無駄の削減も即効背のある効果としては大切ですが、長い目で見ればサービスを「国民目線」で「価値の創造」をどれだけできるかの方がはるかに重要ではないかと考えます。