土曜コラム「今週後半のニュース」第38回:福井の宝、恐竜を生かした取り組みから考える公務員のあるべき姿とは?

 今週の後半も多くのニュースにコメントをしましたが、今回は次のニュースを改めて取りあげたいと思います。

 迫力の恐竜、すまし顔のひな人形に 勝山市の福井県立恐竜博物館で展示

 このニュースについて、私は次のようにコメントをしました。

 恐竜は福井の貴重な資源。他の資源と明らかに時代が異なるので、自由に組み合わせればすべてが斬新な発信素材となる。今後の組み合わせにも期待。

 前回(水曜日)の投稿に続き、今回のニュース紹介も同じような内容のものとなりますが、今回の素材は恐竜です。福井の恐竜博物館は世界有数の施設で、年間100万人が訪れる、全国・全世界に誇れる資源になっています。一方、ひな祭りは全国どこでも行われている文化であるとともに、地域によって若干特徴があったりもします(私は兄弟も子供も男子だけで、ひな祭りとは全く縁がありませんでしたので、地域ごとの特徴などを詳しく知っているわけではありませんが・・・)。

 なので、前回の投稿で紹介した記事は地域の貴重な資源を組み合わせた新しいレシピの開発でしたが、今回は日本の伝統行事に地域の固有性を組み合わせた形になっています。その意味で、地域性は恐竜のみではありますが、なにしろひな祭りという全国に定着した行事と組み合わさっているので、その分、全国への浸透力は強いと思います。さらに、時期が限られているために希少性もあって他の行事とも組み合わせた多面的な展開も可能です(例えば、こいのぼりと恐竜のコラボなど)。

 前回の投稿もそうですが、地域に固有の資源は組み合わせることで希少性をさらに高めることができます。これは発信する側の組み合わせ方によって、何通りも可能です。その組み合わせが受信する側に伝われば、きわめて高い価値を生み出します。企業の商品やサービスでも同じで、新しい技術の開発は多様な用途に活用されることでさらに技術に磨きをかけ、消費者に伝わってこそ価値が高まるものです。恐竜も太古の昔の層から骨が発掘されるだけでなく、現在の私たちの生活や文化と組み合わせることで大きな価値を発揮することができます。

 私は日ごろ、公務員も新しい分野を積極的に開拓していく姿勢が必要だと学生に伝えていますが、まったく新しいことをすることだけではありません。自分自身もしくは所属先が持つ希少なものを、それまで生かすことがなかった分野に活用して、新しい価値を生み出せれば良いと考えます。そのためには、5つの「しこう」つまり「志向」と「思考」と「嗜好」と「試行」と「施行」の5つに常に取り組むことをススメます。

 「志向」とは、新しい価値を生みだそうとする姿勢を持つことで、これがないと何も始まりません。次の「思考」は、新しい価値を生み出すためにいろいろ考えてみることを表しています。「嗜好」は、せっかくなので自分の好みを混ぜてオリジナリティを前面に出してほしいということです。そして、「試行」で実験的に行動しながら改善を重ね、最後に「施行」つまり実際の行動に結びつける、ということです。この5つの「しこう」を貫いて、公務員が新しい分野を積極的に開拓していってほしいと思っています。

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