連載企画:リアル体験!地方公務員の仕事紹介「公務員は「断捨離」が苦手?」
どんな仕事にも「職業病」と言われるような、仕事を通じて身についた習慣や行動様式があります。スポーツ選手の場合は、足腰の痛みなど、まさに「病」的な特徴が多いのではないでしょうか。あるいは、銀行員の方は椅子に座る時間が長いため腰痛になりやすかったり、紙幣を数えるのが早かったり・・・と言ったところでしょうか(あくまで想像ですが)。
地方公務員にも、そう言った職業病のようなものは、いくつかあるように思います。今回は、そのうち「断捨離が苦手」という点を取り上げたいと思います。断捨離とは、身の回りに余計なものを置かず、スッキリとシンプルにしておくことです。「また使うかもしれないから」「物がなくなると不安」という意識から脱却して、気持ちも空間も軽くしておく、と言うのが断捨離のイメージでしょう。
しかし、地方公務員は仕事で扱う文書や書類を捨てず、資料として保管することが大切です。なので、書類を捨てることができず、何でもファイルに綴じておく習慣が身につきます。例えば、文書が企業や他の行政機関から届いた場合、中身の書類だけでなく封筒も保管する習慣がありました。封筒も丁寧にカッターで開け、クズが出ないようにしていました。
そのため、家庭でもチラシや封筒がどんどん溜まってしまいました。もちろん、捨てても大丈夫なものばかりでしたが、その都度ゴミ箱に入れるようなことはせず、一時的に書類スペースに入れておき、ある程度たまったら「捨てても大丈夫なものか」をもう一度確認して、リサイクルゴミとして捨ててきました。また、封筒の宛名など個人情報が書かれてある部分は丁寧に切り取り、注意して捨てました。
現在の仕事でも、紙の資料は保存年数を自分で決め、期間が経過したものは処分するようにしています。つまり、年数が経過していなければ保存しているので、仕事が増えてくれば資料も増えてしまうことになります。「本当はこの資料は要らないから、すぐに捨てても大丈夫なんだけれど・・・」と思うものもたくさんありますが、機械的に年数のみで保存しています。まだスペースが空いている間は問題ないとしても、いずれスペースが足りなくなる可能性があるので、良い方法ではないかもしれません。
地方公務員の方にとってみれば、このように仕事の習慣になっている行動が家庭でも習慣になり、それが良いものもあれば困ったものになることもあります。後者だけを避けようとしても、仕事上好ましくない影響が出る可能性もあるので、なかなか避けることはできません。結局、「職業病」だと割り切って、上手に付き合っていくしかないのかもしれません。心身の病ではないだけでも、ありがたいと思うしかない・・・今はそう考えて、書類に溢れた狭い部屋で過ごしています。