木曜コラム「公務員の仕事」第42回:年功序列という仕組み

 学生と話をしていると、公務員が年功序列であることに理不尽さを強く感じているように思います。年功序列とは年齢が上あるいは勤務年数の長い人が上の役職に就くということです。特に係長→課長→部長などへ昇格する際、最終ゴールと言える部長が定年(60歳)で退職すると空いた部長職に年齢の高い課長が昇格し、課長が昇格して空いた課長職に年齢の高い係長が昇格する…といったことが一般的な年功序列のパターンとされています。

 「年齢だけで昇格が決まってしまうのが果たして良いのか」という疑念がわくのは、特に若い人は自然なことでしょう。若い人にとっては、「頑張れば昇格できる」という希望が持てないですし、「昇進するのに時間がかかる」ということに落胆してしまいます。最近、東京大学から国家公務員総合職(いわゆるキャリア)になる人が減っているそうですが、公務員が新卒早々に活躍できる仕事でないことが一因ではないかと思います。

 年功序列を廃し、実力がある職員、実績を上げた職員が抜てきされることになれば、より適材適所になると思います。年齢が高いからと言って高い役職にふさわしいとは限りません。もちろん、ベテラン公務員も試験を突破し、「職務専念の義務」にしたがって一生懸命仕事を続けて、経験とノウハウと蓄積していますから、一般的には実力や実績は若手より上と言えるかもしれません。しかし、すべてのベテランがそうとは限りませんし、体力や切れ味が衰えてしまっているかもしれないので、若手にも適性がある分野はあるのではないでしょうか。例えば、教育や子育てなどは、子どもを持つ家庭が職員になることで、ニーズも把握しやすいなどメリットもあるでしょう。

 あるいは、たとえ年功序列であっても若手職員のやる気や意見を引き出せる職場環境を作ることも重要だと思います。上の役職の方は決定権を持っているわけですが、若手から積極的にアイデアなどを引き出す姿勢を持っているだけでも、若手はやる気が出るものです。年齢を重ねるとチャレンジすることを躊躇してしまうこともあるかもしれませんが、トップが若手とのコミュニケーションをこまめに取ることで、ベテラン職員の意識も変わるのではないかと思います。

 もちろん、年功序列にもメリットがないわけではありません。大学でもサークルや体育会で1つ年が違うだけで先輩・後輩の上下関係ができます。それが伝統であり、秩序でもあると考えられているのでしょう。同じ要素が公務員の年功序列にもあります。先輩の方が上司になることが、チームの秩序を保つ意味もあるのです。

 仮に実力最優先で、20代の若手職員が50代のベテラン職員の上司になることは、やはり気を使いますし、上司としての指示などを出しにくい点もあるでしょう。私自身も年功序列のなかで地方公務員の仕事をしてきましたが、違和感を覚えることは多くありませんでした。

 ただし、やはり年功序列のままで良いとは思いません。公務員の仕事はどんどん変わってきます。変化に耐え、変化を先導するくらいの組織作りが必要で、若手をどう活用するかが重要なカギになると思います。

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