水曜コラム「今週前半のニュース」第20回:ワクチン接種の混乱からみる国と自治体の関係
今週前半も多くのニュースにコメントをしましたが、今回は次のニュースを改めて取りあげたいと思います。
このニュースについて、私は次のようにコメントをしました。
自治体の現状と首長の思いが率直に語られている。国の対応のしわ寄せが自治体に向けられているように思えてならない。
記事の写真が良かったのか、見出しにあるような「教えてよ」という率直な言葉が聞こえてきそうです。国と地方の調整が十分に取れないまま「早く」という国民と政府の気持ちが先走っているように思います。しかも、政府も大規模接種センターを設置したとはいえ補完的なものでしょうから接種のメイン主体は自治体になるでしょうし、住民も分からないことがあれば市区町村に尋ねることになります。そのため、両方からのしわ寄せが地方自治体に来ているような気がします。
「(首相が)『一日も早くなんとか』という思いは、我々も強く持っているから協力するが、説明しようがない」というコメントも、住民の気持ちを汲みながら責任ある応答ができないことへのもどかしさを感じます。また、「(国が)『余ったものの利用は地方自治体の長に委ねる』とか言ってくれれば、そりゃうまいこと考えますよ」というコメントには、早く住民の期待に応えたいという気持ちが伝わってきます。
もちろん自治体側だけの発言で判断することは避けなければなりませんが、国が自治体に高齢者への接種を早く終わらせるよう強く要請しているとの報道もありますので、自治体を置き去りにした国の勇み足のような状況が浮かび上がってきます。
国と自治体の連携がとれていなければ、住民がますます混乱するばかりです。オリンピックを控えていることやワクチン敗戦ということが言われている事情もあることは分かりますが、連携なくしてスムーズな接種は不可能でしょう。国は自治体と情報共有しながら推進してほしいと思います。