木曜コラム「公務員の仕事」第12回-夕方の光景(退勤)
私の職場は17時15分にチャイムが鳴り、朝礼と同じように全員起立して「お疲れ様でした」と挨拶して仕事を終えていた。残業がない人は机の片づけなどをして17時30分ごろに帰る。急いで帰る人は上司に伝えてチャイムが鳴ってすぐに帰っていた。
残業は、部署によって多いところと少ないところがあるが、個人で残業する人もいればチームで残業する場合もある。どちらも、あらかじめ上司に申請(何時まで、どんな仕事のため)して残業をする(雑談して18時くらいに帰る人もいるが、これは残業ではない)。
19時くらいまでの残業ならば、仕事を終えて帰宅する(自宅は近いので、すぐに夕食がとれる)。
19時を超える場合は夕食の出前を取ることもあった(もちろん自腹)。上司や先輩からお菓子の差し入れなどをしてもらったこともある。ただ、それほど遅くならない時期は、「必ず19時に終わらせて出前は取らない」という方針を取った方が集中力も高まり、残業は少なくて済むと思う。
個人で残業していた場合は、仕事が終われば「お先に失礼します」と言って帰れば良い。上司や先輩が残っていると気持ち的に帰りづらいが、ムダに残る必要はないと思う(率先して帰る上司だとありがたい)。チームで残業していた場合は、全員で帰る。忙しい部署にいた時は、24時前まで仕事をしていた。東京ならば終電コースだろう(地方は自動車通勤が大半なので何時まででも仕事はできるが、翌日に響かないようにしていた。ただし、国家公務員総合職の場合、翌日に響くほど、もっと言えば辞めたくなるほど忙しい時もあるようだ)。
残業は体力的にも精神的にも負担だが、それを和らげる2つの要素がある。1つは、職場の雰囲気やチームワークだ。皆でワイワイ仕事をしようと場を盛り上げてくれる上司の存在は、非常にありがたい。私の場合は、隣の課がそんな雰囲気だった。自分が所属していた課は、数字を扱う部署なので計算ミスが許されず、ひたすら電卓を叩き続けていた。検算の嵐である。そんな時に雑談していると、ミスを誘発するので、できない。隣の賑やかな雰囲気を聞きながら、自分の課では電卓の音が鳴り響いていた。そんな中でも、興味深いこともあった。職員が持っている電卓もいろいろあって(古いモデルや新しいモデル)、音や叩き方に個性が出ていて面白かった。
2つは、ゴールがあることである。自分が所属していた課は、12月上旬から本格的な繁忙期に入り、2月下旬まで続く。3か月の長丁場なのだが、それが終われば一気に残業がなくなる。だから、「2月下旬まで頑張ろう」という気持ちになって、何とか乗り切ることができた。受験でもスポーツの試合でも、本番というゴールがあるから頑張れる。オリンピックが延期になって、モチベーションを下げてしまった選手もいると聞く。公務員も同じではないか。ただ、部署によっては、ゴールのない仕事もある。隣の部署もそうした所だったので、それは自分にとって辛いなと感じる(雰囲気が良かったのが幸いだったと思う)。