日曜コラム「マイ・オピニオン」第21回:都道府県・市町村ランキングはどこまで信用できるか?
今週のニュースでは、都道府県別の魅力度ランキングに大きな変動があったことが注目されました。7年連続で最下位を維持していた茨城県がついに最下位を脱出し、新たに栃木県が最下位となったため、それぞれの自治体が首長の反応とともにとりあげられました。しかし、いずれの反応もランキングには否定的なものでした。栃木県知事は「結果に『えっ』と驚いた。魅力や実力を測るのに適正な指標なのか、改めて疑問を感じた」(朝日新聞より)とのコメント、一方の茨城県知事は「今回42位になったといいますけれども、実態的には我々はもっと上位にあってもおかしくないんじゃないかなと思ってますし、今後茨城県に対する認知がどんどん改善するように引き続き努力していく」(日テレニュースより)とのコメントだったようです。
こうした反応は、基本的には健全だと思います。特に、自治体は地方創生を掲げて多くの人に移住を促す政策を強化していて、その原動力となるのは魅力度アップではないかと思います。ランキング下位の県が、こうした取り組みを十分に行っていないとは思えません。また、私が述べるまでもないのですが、魅力というのはきわめて主観的なもので、同じ内容でも人によって魅力と感じるかどうかは違うでしょうし、同じ人でも時期や環境によっては魅力的なものが変わってくる可能性があります。捉えどころのないものをランキングするのは、どうしても無理が生じる部分が出てくるように思います。
また、魅力が高ければ良いというものではありません。芸能人にも「好感度ランキング」というのがありますが、好感度の高い芸能人が同時に好感度の低い方にも入っていることが多くありますし、プロ野球で人気が高い読売ジャイアンツにはアンチも多くいます。このように、魅力度が高いということにもそれなりの代償があるのではないかと思います。万人が高い魅力を感じるようなケースは、むしろ少ないかもしれません。
私が常々を持っているのは、こうしたランキングの結果に一喜一憂するのではなく、自分たちの地域の魅力とは何かをこの際改めて考えることではないかと思っています。特に地元の住民が、こうしたことを考えて欲しいです。「自分は魅力的な地域に住んでいる」という認識を持つことが、自分の自信や幸福につながり、それを外に発信するきっかけになるからです。もちろんそこまで魅力を感じている人ばかりではないと思いますが、自信や幸せに満ちた生活を送りたいという気持ちは誰でも持っていると思います。そのためには、地域の魅力を自分たちで考えることが重要なのではないでしょうか。ランキングの結果や内容は考えるためのきっかけであり、叩き台のようなものではないかと捉えています。
裏を返せば、ランキングが高かった地域も結果に満足するだけでなく、自分たちの地域の魅力を自分たちの目線で捉え直し、高い魅力の裏側には反対の認識があることも踏まえて、地域の内側からも外側からも魅力を感じられる地域のあり方を探ってもらいたいと思います。
地域ごとのランキングは、都道府県別幸福度ランキングや市別住み良さ、ランキングなど百花繚乱といった状況です。魅力も幸福度も住みよさも、特に大きな違いはないと思います。それだけ簡単に捉えることのできない存在だということでしょう。せっかく注目されているのですから、批判したり避けたりして終わるのではなく、地域のために活用してもらいたいと考えます。