土曜コラム「今週のニュース雑感」第1回:学校の9月入学をめぐって

 土曜日は、今週ツイートしたニュースへのコメントのなかから1つを選んで、さらに補足を加えることにしたい。

 今週は、学校の9月入学の機運が急速にしぼんだことが大きく報道された。そのなかで、私は9月入学見送りを政府に提言へ 自民党ワーキングチームという記事を取りあげ、以下のようにコメントした。

 コロナが落ち着いてから、議論も落ち着いてすれば良いと思う。収束も早かった印象があるが、こうしたテーマが出てきたことだけでも今後に引き継がれる。

 実は、「今後に引き継がれる」と書いたが、引き継がれるかどうか心配な状況である。それくらい、盛り上がりと収束が早かった。 

 以前、私は次のようなタイトルの投稿もした。9月学校入学への移行について-公務員の立場から言いたいこと。その最後を次のように締めくくった。「強い意思と覚悟に加えて、実行可能な体制づくりもトップにはお願いしたい」と(本文は投稿をご覧いただきたい)。書いた時に感じていたことは、「トップの前のめりな意向表明が出てきた時期であっただけに、体制を整えておくことも重要である」ということと「今は議論がこうした出てきたことだけでも成果とすべきではないか」ということである。

 今週のニュースから、結局、体制が整っていないことが明らかとなった。私は「それ見たことか」と言いたいのではない。むしろ、トップの意向表明が先行しすぎた分、現場の警戒感と揺り戻しも大きくなってしまったのではないか

 個人的には、9月入学に賛成でも反対でもない(かなり難しいとは思っているが)。重要なのは、結論がどちらであっても、国民的議論の結果に加えてトップと現場の意向が一致すること。大きな動きが生まれるためには不可欠だ。

 もちろん、国民や現場は変化を好まない傾向もあるかもしれない。しかし、現場に身を置いた経験から言えば、現場は小さな改善には積極的であった。公務員は、それをあまり誇示しようとしない人が多いから、あまり知られることはない(損な性分かもしれない)。良い方向に進もうとする意識は確実に持っている。

 変化が大きい場合は、広く影響が及ぶことや時間がかかることから、意思決定も複雑になる。それでも、変化することで生じる弊害が小さく、大きな成果が得られるのならば、現場の公務員も進んで変化に身を投じ、先輩から後輩に受け継がれるのではないか。

 現場=抵抗勢力という図式は分かりやすいが、必ずしもすべてに当てはまるわけではない。トップのリーダーシップと変化に対する現場の確信があれば、9月入学のような大きな変化でも着実に進んでいくと思う

 今週のニュースから、トップの意向表明が前のめりになってしまったことが、かえって進展を止めてしまった印象もある。新型コロナが落ち着いてからも、今回のドタバタがトラウマにならないことを祈るばかりである。

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