水曜コラム「公務員の学び」第4回:現場は貴重な情報の宝庫、これを学びに活かせば百人力

 私は、公務員になって4年目に、大学院に派遣された。3年間の公務員の仕事のなかで、さまざまな問題意識が芽生えていて、それをもって大学院で学ぶ環境を得たので、非常に有意義な勉強をすることができた(大学生は社会に出る前なので問題意識が醸成されにくく、学ぶ目的を見出せない場合がある)。

 その後、市役所に戻り仕事をしたのだが、仕事で扱っているデータや情報が実は最先端のものであることに気がついた。大学院で指導していただいた先生方は、もちろん経済学の優れた研究者である。しかし、書籍や分析から得られる 大変高度な知見を持っておられるものの、まだ世に出ていない最前線の最先端の情勢・情報はむしろ公務員の現場の方が溢れている(逆に、自分が研究者になって感じていることだが、「先生は何でも知っている」と学生に思われていて強いプレッシャーになる。それに応えられるよう努力はしているが、やはり最前線の情報は現場の方が圧倒的に豊富である)。

 加えて、公務員は同僚や先輩・後輩と机を並べて仕事をしている。そのため、目の前の仕事に対して様々な角度から意見が出てくる。これに対して、研究者の場合は個室で研究をすることが多いので、そのような様々な意見を聞く場が実は極めて限られている。そのため、研究が独りよがりのものになってしまうこともある。そうしたことにならないよう、積極的に知り合いに意見を求めることもある。公務員の場合は、仕事をしているだけでそれが勝手に入ってくるのである。

 公務員のこうした状況は、大変恵まれていると感じる。もちろん、本来の仕事をしなければならないのだが、そうした貴重な情報を研究に活かすことができれば大変有益だと思う。現在、地方公務員出身者の大学教員を中心に「地方行政実務学会」が立ち上がったのだが、他の方々からもそのような意見があった。

 大学教員は教育と研究が本業であるが、そのための時間はあっても最前線の情報がなかなか入ってこない。これに対して、公務員は公共サービスの提供が本業であるが、最前線の情報に基づいて仕事をする時間はあってもそれを研究に活かせる時間がない。それぞれがそれぞれの長所を活かしてコラボレーションをすれば、百人力のパワーとなって有益な研究成果が世に出せるのではないかと密かに考えている。大学教員も現場の情報に積極的に触れつつ、公務員も一定の学びを蓄積しながら、現場の情報を研究として活かしていけば、アカデミズムを基礎に持ち社会にも貢献できる研究ができるようになるのではないだろうか。

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