水曜コラム「公務員の学び」第11回:「80:20の法則」で効率読書

 タイトルは私が勝手につけたものだが、「80:20の法則」は「パレートの法則」とも呼ばれていて、いろいろな分野で使われている。この法則を提起したのは、経済学者のパレートで、経済学を学ぶ者にとっては「パレート改善」「パレート最適な」などの方が有名である。

 パレートの法則が述べていることを端的に表現すれば、「20%のなかに80%のものが詰め込まれている」ということである。したがって、この法則を読書に当てはめるならば「本の20%の部分に内容の80%が詰め込まれている」となる。本の内容を時間と労力をなるべくかけずに知りたい場合は、20%の部分だけを読めばよい

 問題は、その20%がどこにあるのかを探すことだ。著者も、本当に言いたいことは本の一部であり、強弱をつけて議論を展開している。前書きや目次で20%の部分の当たりをつけ、そこを読んでみる。それで80%を把握できれば良いし、できなければ次の候補を探して読んでみる。

 なお、どんなことが書いてあるのかも予想した上で読む方が、さらに良い。読書の印象が残りやすく、後で思い返すのが容易になるからだ。読書はインプットだが、後のアウトプットにつなげることが大切だ。読む前に予想しておけば自分の感想も予想できてアウトプットがしやすくなるし、予想が外れればそれもアウトプットにつながる。

 速読術なるものも魅力的だが、「どれだけ速く読むか」は、実は「どれだけ読まないで済ませるか」が重要である。全部読まないと「大事なことが他に書いてあるのでは」という不安と、「せっかく買った本がもったいない」という負担を感じるかもしれない(私もこのタイプで、80:20の法則を使いこなせているわけではない)。しかし、「時は金なり」で、読む時間を省略できたこともまた大きな価値がある(もちろん、小説は順に読んでいく方が良い)。もし不安があるなら、パラパラめくってみて気になったところだけ読むようにすれば良いのではないか。

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