金曜コラム「文章、プレゼンの基礎」第7回:質疑応答で真っ先に手を挙げる前方の人には要警戒

 プレゼンテーションの後には、通常、質疑応答があります。資料の作成やリハーサルを経てプレゼンテーションを終えるとホッとしますが、実は質疑応答にも注意が必要です。

 それは、質疑応答で真っ先に手を挙げる前方の人です。質疑応答の内容には、いくつかの種類があります。問題なく答えられるのは、聞き逃したことを問われる場合です。プレゼンテーションの該当部分を繰り返せば良いだけですから、発表する側の対応も楽です。

 あるいは、プレゼンテーションに関連するがスライドや話では触れられなかったことを問われることがあります。例えば、プレゼンテーションでA市の現在の人口を紹介したけれども、質疑応答で過去10年間の増減を聞かれるような場合です。この時は、知っている範囲で答えるしかありません。知らない場合は、相手の期待に応えられないことになりますが、正直に「調べていない」と答えるしかありません。

 では、なぜ最初の質問に注意すべきなのでしょうか。それは、目的が質問ではなく自分の意見を披露したいという人が最初に質問することが多いからです。プレゼンテーションで述べた意見に同意できない人は、質疑応答の場で自分の意見を述べるとともに、発表者に見解を問うことがあります。要するに、論破したくて「喧嘩を売ってくる」ことがあるのです。その場合は、見解を明確に伝えてしまうと、さらに論破するため次の質問が飛んできて、収拾がつかなくなることもあります。そうなると場の雰囲気も悪くなってしまいますし、他の聴衆もシラけてしまうことがあります。

 こうしたことを完全に防ぐことはできませんが、2つの方法をご紹介したいと思います。1つは、こうした人は前方に座っている場合が多いので、真っ先に手が挙がってもすぐに指したりせず、後ろの席からの質問を先に受けることです。聴衆が手を挙げることは阻止できませんが、質問者を指名する権利はプレゼンテーションをする側にあります。真っ先に手が挙がった時点で身構える準備が必要になるので、質問を後回しにふればある程度の時間稼ぎができます。

 第2に、こうした質問が出た場合は、途中で質疑応答を打ち切りプレゼンテーション終了後に個別に対応することです。「多くの人から質問いただきたいし、時間もあまりありませんので、後で個別にお聞きします」とすれば、納得してもらえるでしょう。こうした質問をする人は、見解を聞きたいだけでなく聴衆に自分の意見をアピールしたい、論破したことをアピールしたい気持ちも持っています。なので、どうしてもヒートアップしてしまうのです。冷静に議論するには、個別に対応した方が良いと思います。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。