土曜コラム「今週のニュース」第17回:行革は国会議員の課題でもあるのではないか?

 今週も多くのニュースにコメントをしましたが、今回はすでにツイートしたニュースではなく、関連するニュースを取りあげたいと思います。

 霞ヶ関を「ホワイト化する」若手官僚の士気向上に注力 河野行革担当相

  このニュースに関連するニュースは、次の通りです。


「縦割り110番」にメール3000通 河野氏、反響大きく受け付け一時停止

 このニュースについて、私は次のようにコメントをしました。

 声が直接届くのは意義深い。ただ、件数が増えすぎると対応しきれるかどうかが不透明。対応状況を公表して期待に応えてほしい。

 河野行革担当相の発信力が抜群なせいか、就任当日からさまざまな切り込みを行っているように見えます。特に、菅新首相自身が「タテ割り行政の打破」ということを強く訴えているので、行革担当としての期待も強いのではないかと思います。

 しかし、「タテ割り行政の打破」や「縦割り110番」は、官僚機構の課題を解決するもので、特に後者は国民からの意見を募る形のものです。つまり、「公務員を正す」という発想があるのではないかと思います。公務員に対する世間のバッシングも強いですし、確かにタテ割りや官僚機構にも課題がありますので、それを克服することは大変重要です。その意味で、先日取りあげたニュースは注目されます。

 同時に、公務員の仕事は年々多忙になってきています。特に霞が関の中央キャリア官僚は残業も多く、寝る暇もないほど忙しい時期があるようです。つまり、「ブラック企業」のような労働環境に置かれている公務員も多くいます。今回新たに取りあげたニュースは、河野担当相にも同様の認識があり、公務員の「ホワイト化」も進めて行く必要があると捉えていることを示しています。

 タテ割り行政は公務員の仕事が煩雑になる一因でもあるので、タテ割り行政を打破すれば公務員の労働環境も向上する部分があります。つまり、2つのニュースは別のものではなく、一体のものでもあると言えます。しかし、もう1つ忘れてはならないのは、公務員の多忙は国会議員が招いている面もある、ということです。特に、国会対応は国会議員の要請に対応する他律的業務と言えるもので、中央キャリア官僚の長時間残業の一因でもあります。したがって、官僚のホワイト化は、国会議員の課題でもあるのです(決してブーメランということを言いたいわけではありません)。

 国会対応が国のため(国会答弁を通じて国の政策を良いものにしていくため)ではあるとしても、就職先としての官僚の魅力を下げているとすれば、長い目で見れば国のためにならない(優秀な官僚が集まらなくなって政策の企画立案・実行力が低下する)面もあると思います。官僚と国会議員が一致団結して行革に向かっていく必要もあるのではないでしょうか。

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