土曜コラム「今週のニュース」第21回:新型コロナの影響で公務員試験にも異変?

 今週も多くのニュースにコメントをしましたが、今回は次のニュースを改めて取りあげたいと思います。

国家公務員一般職合格者が大幅減 コロナ影響で試験日程遅れ | 共同通信

 このニュースについて、私は次のようにコメントをしました。

今年は採用が難しかったと思うが、地方公務員の魅力が相対的に上がっているのかもしれない。

 例年の公務員試験は、国家公務員総合職から始まり、続いて同一般職、同専門職、都道府県庁上級、市役所と続いていく、かなりの長丁場です。最も早い国家公務員総合職の場合でも、4月下旬から試験が始まり、官庁訪問を経て最終的に内定を得るのが8月ごろになります。最も遅い市役所では、9月ごろから試験が始まり、内定は年末くらいになります。このように、公務員試験は長丁場で、民間企業よりも内定は遅くなります。

 学生の就職活動は、もちろん仕事や勤務先の希望もありますが、「早く決めてしまいたい」という気持ちもあります。例えば、まず第2希望から先に内定を得た場合、第1希望をどうするでしょうか。もちろん、第1希望に行きたい気持ちは強いでしょう。しかし、第1希望の内定が出るのにまだ時間がかかったり、内定が出る前に第2希望から就職の意思を問われたりすると、話は変わります。第1希望の結果が出る前に、第2希望の扱いを決めなければならない、つまり第2希望をキープできない場合もあるのです。その場合は、リスクを避けて第1希望を断念することも選択肢となります。

 公務員試験の場合は、さらに勉強を続けなければなりません。第2希望の内定を獲得した後に第1希望の試験が残っている場合、第2希望に行く意思を固めれば勉強もその時点で終えることができますが、第1希望の合格を目指す場合には勉強を続ける必要があります。しかも、すでに合格しているので今後の勉強に身が入らなくなる可能性もあり、ダラダラ勉強が続いてしまいかねません。こうしたことから、第2希望でも先に内定を獲得できれば、第1希望を辞退するケースも出てきます。

 今回の記事には、国家公務員一般職の合格者が激減した理由として「先に合格発表のあった地方公務員などに流れたとみられる」と書かれています。これまでは、国家公務員一般職の合格発表が先にあったので、後に続く地方公務員が第1希望であっても辞退するケースだったのが、今回は逆のことが起きている、ということでしょう。

 そうした事情もあり、今年度の公務員試験は難易度がガラッと変わったかもしれません。まだ試験が続いているので何とも言えませんが・・・。また、来年度の試験もどうなるかは予想がつかないところです。

 ただし、記事には書かれていませんが、地方公務員の魅力が相対的に上がっていることも一因ではないかと思っています。国家公務員の長時間残業などがニュースにとりあげられてイメージにも影響を与えていますし、地方公務員の場合は創意工夫に満ちた地域の政策が紹介されるようになっています。もちろん国家公務員の仕事も大変重要だとは思いますが、どちらかといえば地方公務員の魅力が高まっているような気がしています。

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