土曜コラム「今週のニュース」第26回:数値目標の大切さと難しさ

 今週も多くのニュースにコメントをしましたが、今回は次のニュースを改めて取りあげたいと思います。

女性登用の数値目標、過去最高なのに…6割が届かず

 このニュースについて、私は次のようにコメントをしました。

 一定の成果は出ていると思う。しかし、数値目標はバックキャスティングの視点に立ち、取り組み内容と達成のプロセスがなければスローガンに終わる。

 ニュースで取りあげられている政策分野は「男女共同参画」と呼ばれていて、「男は仕事、女は家庭」などと性別によって役割を固定するかのような考え方を改め、性別にかかわらずそれぞれの生き方を尊重するために進められているものです。かつては男女平等などと呼ばれることもありました。最近では「イクメン」など男性が積極的に家事や育児に関わることや、「女性活躍」など仕事の場で女性が期待されているなど、男女共同参画に関わる多様な政策が進められています。

 女性登用も、その一環です。幹部職員に占める女性の割合(民間企業・公務員)、政策を議論する審議会等における女性の割合、地区自治会の役員に占める女性の割合などに重点が置かれていますが、最近では女性議員の割合も注目されています。

 これらの割合は、やはり男性の方が高いです。まだまだ女性は少数だと思います。それを引き上げるべく、公務員でも女性幹部の登用や女性への意識啓発(もちろん男性にも)などを進めていて、一定の成果は出ています。つまり、女性登用は少しずつですが着実に進んできています。ただ、これらの政策には数値目標があって、なかなか目標には到達していないのが現状です。

 私はこの状況について、2つの点から意見を述べたいと思います。1つは、目標水準が適切なのかどうか、ということです。最近ではあらゆる政策分野で数値目標が設定されています。例えば、5年間で15%向上などといった具合です。しかし、そうした前向きな姿勢は良いと思いますが、なぜそのような水準を目標にするのかがあまり考えられていないのではないかと思います。数値目標の設定があらゆる分野に広がっているからこそ、何となく横並びの目標になってしまうのかもしれません。例えば、5年間の目標がAという政策では15%なのに対して、Bという政策で20%になっていたら、Aを所管する部署は消極的な印象を与えてしまうでしょう(そのような意図ではなかったとしても)。

 それゆえ、第2に、何をどのくらいすれば目標に到達するかがあまりイメージされていないのではないかと思います。水準の根拠が不明確なら、そのプロセスも明確にすることはできないからです。そこで、政策を進める側は「とにかく一生懸命頑張ります」ということしか言えなくなってしまいます。もちろん一生懸命頑張ることは公務員に求められる職務専念義務でもあるのですが、曖昧な目標では単なるスローガンにすぎません。

 なので、今回とりあげた男女共同参画の分野では、着実に進展していることを前向きに評価すれば良いのか、あるいは明確な根拠とプロセスが想定されていない目標水準でも到達しなかったことを反省すべきなのか、迷うところです。

 数値目標を機能させるには、すべてのことは見通せないとしても、より根拠とプロセスに裏づけられた目標を設定し、バックキャスティングの視点に立って現状とのギャップを埋めて目標を達成するために足りないものを埋めること、そのために練られた政策を着実に進めること、途中で成果と課題を検証して目標と政策を間断なく見直していくことが重要ではないかと思います。

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