日曜コラム「マイ・オピニオン」第26回:文化・芸術活動がこれからの経済にもらたすもの

 新型コロナ蔓延の第3波が訪れていると言われ、政府もgotoトラベルキャンペーンの見直しを検討することになりました。経済活動を促進するのか、コロナの蔓延を強力に食い止めるのか、二者択一のような賛否両論のような形で議論が展開されているようです。

 しかし、新型コロナの影響は業種によって大きく異なります。gotoトラベルやイートなどのキャンペーンが行なわれている業種はマイナスも大きく、キャンペーンの見直しは再び悪夢のような状況が訪れるのではないかという不安が大きいでしょう。一方、テレワークやネット通販の拡大でデジタル機器や通販業界は好調と聞いています。

 こうした中で、文化・芸術分野は、やはり厳しいと聞いています。集まって練習することや舞台やコンサートなどがなかなかできず、できてもソーシャルディスタンスのため観客が半分程度しか入れない、などといった状況です。スポーツもプロ野球などで同様ではないかと思います。それぞれの分野で、新しい取り組みが創意工夫を重ねて進められています。上手くいっているところとそうでないところはあると思いますが、さまざまな試行錯誤と検証を重ねて、少しでも打開していくしかないかと思います。

 ところで、文化・芸術活動は「不要不急」という言葉で捉えられてしまうところもあり、大きな打撃を受けていますが、経済活動再開の対象としてもなかなか前面に出てこない分野かもしれません。確かに文化・芸術と一口に言っても、大衆向けの娯楽もあれば、限られたファン層向けの高尚なものまで、実に幅広くあります。観客の動員は野球などで徐々に拡大しているようですが、予想外に入りが多くないようです。やはり「リスクを冒してまで…」という気持ちが先行してしまうのでしょうか。

 しかし、文化・芸術活動こそ、これからの豊かな生活に欠かせないものです。私たちの暮らしは、経済的にも豊かになり、生活に必要なモノやサービスが十分に満たされています。そうしたなかで、日本が持続可能な成長を続けていくには、まさにこうした分野での発展が欠かせないのです。私たちの心を豊かにし、価値あるものを正しく評価して高い水準で需要と供給をマッチさせる基盤となるのが、文化・芸術ではないかと思います。今すぐにということではないにしても、これからの豊かな生活には欠かせないものです。

 新型コロナの本格的な蔓延から1年近くになろうとしている現在、ウィズコロナの時代のなかで文化・芸術を基盤とした新しい発展の姿を模索していく必要があると思います。

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