火曜コラム「オススメ書籍」第31回:マンキュー「経済学Ⅱマクロ編」

 先々週の投稿でミクロ編を紹介しましたが、今回はマクロ編です。マクロ経済学とは国全体の経済活動を考察する分野で、個々の家計や企業の経済活動を考察するミクロ経済学と視点が異なっています。最近の身近な話題で言えば、新型コロナウィルスの影響でGDPがどれだけ減少したのか、雇用情勢にどのような変化があったのか、政府の財政出動や貿易が国の経済にどのような影響(効果・弊害)をもたらすのかなどを考察するのが、マクロ経済学の領域に入ります。

 大学生が使う経済学の教科書として最も普及しているのがマンキューなので、多くの方々が読んだことがあるのではないかと思います。私も今回読んでみて、非常に分かりやすいと感じました。それだけでなく、事例も豊富でアメリカだけでなく日本の状況も加わっているので、実感のともなう内容になっています。

 さらに素晴らしいと思うのは、最近議論されているテーマについても、マクロ経済学の視点で考え方が述べられている点です。どうしても経済学は現実味が弱く、例えば個人や企業が実際に経済学の需要・供給曲線を意識して行動しているわけではないので、経済が重要な割に経済学が重視されていないような印象があります。こうした経済学の弱点を十分に補ってくれるのがマンキューのテキストなので、理論の紹介に終わることなく現実との橋渡しを効果的に果たしているのではないかと思います。

 マンキューで経済学を学んだ方は、ぜひとも次のステップに進んでいただきたいと思います。それは、よりレベルの高い経済学の理論を学ぶこと、そして、現実の問題を経済学の理論で切り取ってみることです。前者は経済学部の学生には不可欠でしょうし、社会人の方にも自分自身と関係の深い分野を専門的に学んでほしいと思います。つまり、後者の取り組みのなかで自分自身と関係の深い分野の問題を経済学の理論で切り取り、その際に関連の理論も深く学ぶことが良いのではないでしょうか。

 したがって、これらは別々の取り組みではなく一体として進めていけば経済学の学びが効率的かつ効果的に進められるのではないかと思います。

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