土曜コラム「今週後半のニュース」第31回:消費税増税は日本の財政に何をもたらしたのか

 今週から水曜日を「今週前半のニュース」に刷新しましたので、今日から土曜日のコラムを「今週後半のニュース」にタイトル変更します(内容は同じなので、回数はリセットしていません)。

 今週も多くのニュースにコメントをしましたが、今回は次のニュースを改めて取りあげたいと思います。

「消費税頼み」が鮮明に、21年度税収 法人税の2倍超える20兆円以上

 このニュースについて、私は次のようにコメントをしました。

 安定財源としての消費税の役割は大きい。一方、法人税や所得税とのバランスが大きく変わり、公平性への認識にも影響を及ぼしている。

 記事では、1990年度の税収を2020年度(補正後)と2021年度(見込)で比較しています。この30年間に所得税は約26兆円から19兆円に、法人税も約18兆円から9兆円へと減少しました。この2つの税で、44兆円から28兆円へ4割ほどの大幅減少となります。一方で、消費税は約5兆円から20兆円へと4倍に伸びました。その結果、税収総額では60兆円から57兆円へと、ほぼ横ばいという形になっています。換言すれば、この30年間で税の構成が大幅に変わったことになるわけです。

 記事には「消費税頼み」というタイトルがついていますし、文中には「消費税の増収分が法人税の減収分を穴埋めしてきた」との指摘があります。そして、消費税はこれまで増税されてきたので「低所得者の負担は増える一方だ」という批判になっているのです。

 こうした指摘は必ずしも間違っているとは思いませんが、一面的な部分も否定できないと思います。消費税は社会保障財源として、あらゆる世代が負担するものです。また、所得税や法人税に比べて消費税は景気に影響されにくく、比較的安定した財源となっています。社会保障があらゆる世代の負担であらゆる世代に対して(全世代型保障として)提供されるものであり、安定した財源の裏づけで行う必要があるとすれば、消費税頼みになることは避けられないと思います。

 また、法人税は企業活動のグローバル化によって国際間の引き下げ競争が激化しています。アベノミクスの一環として法人税の実効税率の引き下げが進められましたが、日本の法人税率が高いと企業が海外に投資してしまう可能性があり、税収の確保が難しくなるといった事情も考えなければなりません。さらに、所得税については1990年以降のバブル崩壊による景気低迷により、何度か減税が行われてきました。その結果として所得税が減少してきた面もあります。もちろん最高税率が以前ほど高くないといったこともあるのですが、やはり最高税率を引き上げて富裕層に重く課税をすると海外に逃避してしまう可能性もあります。その結果、所得税も大きく伸びることは消費税ほど期待できないのではないでしょうか。

 言うまでもなく日本の財政は世界最悪の赤字を抱えています。したがって財政健全化を図るために、あらゆる税の引き上げを検討しなければならないでしょう。所得税と消費税は、30年間でほぼ同じ規模の税収となりました。見方を変えれば、どちらも、基幹税としての役割を持つようになったことになり、引き上げの選択肢が増えたとも言えます。法人税は別の側面がありますが、今後の税収確保に多様な税種で対応することは非常に重要で、現在は確保のための土台が構築されたと言っても良いのではないでしょうか。

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