土曜コラム「今週後半のニュース」第34回:地方の大学こそ地域活性化の起爆剤に

 今週の後半も多くのニュースにコメントをしましたが、今回は次のニュースを改めて取りあげたいと思います。

 地方国立大の定員増、22年度にも認可へ 文科省方針

 このニュースについて、私は次のようにコメントをしました。

 コロナの影響もあって地元への進学志向は高まっているという。学生が地方の魅力や活力に改めて触れ、長期定着を前向きに考える期間になるよう、大学と地域が連携して取り組んでほしい。

 私は以前、地方の公立大学に勤務していて、現在は東京の私立大学に在籍しています。地方の公立大学は、若年層の大都市流出を少しでも抑制できるよう、高等教育の受け皿として大きな期待が寄せられています。今回の記事は国立大学に関するものですが、公立大学は地方自治体が設置しているため地域活性化への期待も大きいと思います。

 国立・公立を問わず、地方の大学は定員拡大を進めたい部分と進めにくい部分の両面があります。定員拡大はやはり若年層の定着に貢献するだけでなく、教員の増加等による教育基盤の強化や教育分野の多様化など、学生に魅力的な学びの機会を提供することにもつながるでしょう。一方、定員拡大を進めにくい部分としては 地方の少子化が進むため、定員確保がますます困難になってくることです。すでに大学全入時代を迎えているなかで一部の私立大学では定員割れを起こし、経営が行き詰まる例も出てきています。国公立大学だからといって決して安泰ということではなく、仮に定員が確保できたとしても競争率が低下すれば学生の学力水準が維持できない可能性も出てきます。このように、地方の大学は定員拡大を進めたい部分と進めにくい部分の両方があり、地方国立大学の定員増にはリスクもあると思います。

 ただし、最近は地方の大学が地域を教育・研究のフィールドとして位置づけ、積極的に地域活性化や課題解決に貢献しようとする動きも強まっています。地域を題材にした教育が行われることで学生が地域に根付く意識を高めてくれる思いますし、地域をフィールドとした研究によって地域のさまざまな人材が大学に関係を持つようになるでしょう。私は社会人大学院生として貴重な学びの機会を得ることができましたが、仕事の場で強い問題意識を持った人は、学ぶことの目的も明確になるため、その意義も大変大きいです。大学が地域との関係を強めることで、若年層に限らず多様な人材が大学で学ぶ機会を得られるのであれば、定員増加は大きな効果を発揮できると思います。

 その意味で、地方の国立大学の定員増化は大学の地域が連携によって幅広い年齢層の学生が地方の魅力や活力、さらには課題に改めて触れ、地域との関係を深めていくことで効果がより高まるのではないかと考えます。

 また、コロナ禍でテレワークが広がり、副業も普及してくれば、大都市と地方の壁がかなり低くなると思います。暮らしの拠点は地方に置きながらテレワークを中心に大都市の企業に勤め週1回だけ勤務することや、地方の仕事を副業として行うこともできるようになるでしょう。大学も同じで、オンライン授業が急速に普及し、コロナが収束しても元に戻ることはないと考えられます。オンラインと対面の多様なバランスをとれば、地方に暮らしながら大都市の大学に通うこともできますし、逆に大都市の学生が地方の大学との交流を深めることができると思います。こうしたことが可能になるためには、地方の大学が独自のコンテンツを提供することが重要であり、まさに地域というフィールドから独自性を発揮できるのではないかと思います。

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