土曜コラム「今週後半のニュース」第35回:公務員のサービス残業をなくすために

 今週の後半も多くのニュースにコメントをしましたが、今回は次のニュースを改めて取りあげたいと思います。

 国家公務員の残業代を全額支払いへ 河野大臣が表明

 このニュースについて、私は次のようにコメントをしました。

 多くの公務員にとっては、今回の表明を機に残業を減らす取り組みを、もっと積極的に進めてほしいのではないか。

 公務員の残業については、これまで何度か取りあげています。特に、国家公務員総合職(いわゆるキャリア官僚)の残業が非常に多いと言われています。平成31年国家公務員給与等実態調査によると平成30年の超過勤務の年間総時間数は全府省平均で226時間、超過勤務の上限の目安時間360時間を超えた職員の割合は全府省平均で22.0%ですが、他律的業務の多い本府省では44.7%の職員が360時間を、7.4%の職員が720時間を超えて勤務していたそうです。このように、残業時間が長いだけでなく、国会対応など他律的業務が多いことが一因とされているため、自分が頑張って残業しないように工夫することも困難です。

 さらに、残業ても全額手当が支給されるわけではないようです。残業に該当しない「自己研鑽」としてみなされていて、実質的なサービス残業もあると言われています。

 このような理不尽とも思える対応は、やはり看過できるものではありません。私は公務員の仕事について学生に話をする機会が多くありますが、サービス残業に関してはかなり強い批判が寄せられます。今回、残業代を全額支給するという表明は、サービス残業がなくなるとすれば、公務員は大いに歓迎するでしょう。

 とはいえ、残業代を全額支給すれば支出が増加するので財政が圧迫されます。国民や住民のニーズが多様化・高度化する一方で収入が伴っていない状況では、収支のバランスをとるためにどこかにしわ寄せがきてしまいます。そのしわ寄せの一部がサービス残業をもたらしていたのではないかと思います。

 したがって、現状の仕事量で残業代を全額支給すれば財政への圧力は大きくなります。さらに、元来仕事量が多い公務員は、残業代が出てもそれを使う時間もありません。もちろん貯金しても良いのかもしれませんが、お金を使う時間がないほど忙しいのも労働環境としては問題があるでしょう。やはり、労働時間を短縮したうえで、残業代を全額支給しても財政への圧迫にならないようにした方が良いと思います。その方が、働く公務員にとっても、納税する国民・住民にとっても望ましいのではないでしょうか。

 今後は、サービスの拡充だけでなく、縮小や廃止を伴う見直しにも躊躇なく取り組んでいくことが、今よりも必要になってくると思います。縮小の結果サービスを切られてしまう層には不満も大きいかもしれませんが、説明責任を十分に果たすことで合意を得ていくしかないと考えます。

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