日曜コラム「マイ・オピニオン」第38回:昨夜遅くの地震で…

 昨夜23時過ぎに、福島県沖を震源とするマグニチュード7.3の大きな地震が発生しました。福島県・宮城県で震度6強、私が住んでいる都内では震度4でした。私はウトウト寝かけていた時間帯で、ふだんは多少の揺れでも起きないのですが、さすがに昨夜は飛び起きてリビングの様子を見に行きました。家族も集まってきて、家具等も含めて特に被害はなかったのですが、予想以上に長い時間揺れたので心配しました。外では地域の警報も流れ、テレビでは臨時ニュースも一斉に放送されました。

 まもなく東日本大震災から10年が経過します。昨夜の地震もその余震と考えられるとのことで「震災復興が道半ば」という報道も聞きますが、むしろ「震災はまだ進行中なのだ」と感じざるを得ませんでした。…と書いているさなかの今も地震が起き、我が家もさきほど揺れました。福島は震度4だったようです。

 東京では首都直下地震の発生が確実と言われているので、震災への準備もある程度行われています。職場や学校でヘルメットが用意されていたり、自宅の家具に転倒防止金具を付けたり、木密地域(古い木造住宅が密集して震災に弱い地域)の耐震化や除却が進められたり、地震への備えは日ごろからそれなりにできているように思います。

 しかし、大きな問題は帰宅難民の発生です。福井の場合は職住近接(自宅から職場まで徒歩でも30分程度と近く、通常は自動車や自転車で通勤)なので、勤務中に地震が起きても何とか自宅までたどり着くことはできるでしょう。しかし、東京の場合は神奈川県・千葉県・埼玉県からも多くの通勤・通学客が電車で移動します。距離でみれば30kmくらいの移動をする人も少なくありません。そのため、もし勤務中や学校内で地震が発生すれば、自宅に帰れなくなる帰宅難民が多数出てくるでしょう。東日本大震災の時も駅でタクシー待ちの大行列ができた光景が報道されました。

 そうなると、自宅に備蓄品があったとしても使うことはできません。もちろん、会社や学校にも備蓄品はあるかもしれませんが、移動中に地震が発生することも考えられるので、そうなると身の回りに何もない状態になってしまいます。せっかく準備していても生かされなければ、万全の備えができていないのと同じになってしまいます。

 災害対応に当たる公務員も同じです。国の中枢となる霞が関に勤める国家公務員、地方自治体に勤める地方公務員は、近くに住んでいるとは限りません。そのため、勤務中ならば仕事での対応も迅速にできるかもしれませんが、自宅にいる時や移動中の場合は対応に時間を要します。数十kmの距離を歩いて出勤し、対応に当たれる人は限られるのではないでしょうか。

 現在、新型コロナウィルスの蔓延で首都圏は緊急事態宣言が出され、テレワークの徹底が呼びかけられています。このような状況で大きな地震が発生すれば、自宅の備蓄品は使えると思いますが、公務員の災害対応が後手に回ってしまう可能性があります。もちろん、地震はいつ発生するか分からないのですが、いずれにしても自助・共助・公助が必要とされる災害対応で、現状を考えると「自分の身は自分で守る」自助を可能な限り実践する意識をより強く持たなければならない、と今回の地震で考えた次第です。

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