火曜コラム「オススメ書籍」第41回:小田理一郎(著)松尾陽子(マンガ)『マンガでやさしくわかる 学習する組織』日本能率協会マネジメントセンター

 ベストセラーのビジネス書籍をマンガでやさしく解説する本が、実に多く出版されています。難しそうなイメージのビジネス書籍をマンガで紹介することによって、多くの読者に読みやすくしているわけです。もちろん、マンガを通じて興味が深まれば書籍本体を手に取りたくなりますし、おおよその内容はマンガで把握しているので書籍本体が難しいというイメージも薄まります。こうしたメリットが、多くのマンガ解説書が出てくる背景にあると思います。

 今回紹介する本は、本体が難しそうだからマンガからスタートしたのではなく、たまたま近くにあったので手に取った次第です。

 この本を読んだきっかけは、ゼミ運営のヒントを探すためです。学生は学ぶために大学に入るので大学生の学習は必須ですが、ゼミはチームでもあるので組織となっているのです。まさに「学習する組織」は大学においてはゼミ運営のポイントになると思います。

 本書はマンガなので、ストーリー展開に工夫があります。不祥事を犯した飲料会社の社員が工場の職員とともに、企業のあるべき姿や工場の役割を模索するというストーリーです。本社から派遣されてくる社員と、現場の工場で働く社員にはさまざまなコミニケーションのギャップがあります。現場としての工場の事情をよく知らない本社の社員が、上から目線で会社の方針を押しつけてくることに対して、工場の社員が反感を抱くという、よくある風景です。

 したがって、本書は多くの社会人が似たような経験をしているのではないでしょうか。そして、ストーリーに出てくる悩みや試行錯誤をまさに行っている方も多いのではないかと思います。そうした人にとっては、「みんな悩んでいるんだ」と分かるだけでも帆としますし、もちろん内容にも解決へのヒントが満載です。もちろん「そう簡単にいくわけない」と思うところもないわけではありませんが、1つのきっかけを見出すチャンスが溢れているように思います。

 なお、マンガになっているので、絵だけで本体の書籍に書かれていること全てをマンガで表現することは困難です。マンガと文章を交互に交えて展開されていて、マンガではストーリーを展開し、続く文章では場面の背景にある事情や理論的な側面を描いています。それでも、マンガはページ数が多くなるのでおそらく本体の一部を凝縮したものになっていると思いますが、それでも本書はエッセンスを知る上では大変有益だと思います。

 私自身も、ゼミ運営にヒントになりそうなポイントをいくつか見つけることができました。さっそく4月から少し試してみようと思っています。また今後さらに機会があれば本体となっている本を読んでみたいと思います。もちろん、これからの公務員もチームとしていろいろなことを学習し、質の高い政策形成をしていかなければなりません。公務員の方にもオススメの本だと思います。

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