木曜コラム「公務員の仕事」第42回:公務員の災害対応

 東日本大震災から10年の節目を迎えました。この10年間を見ていると、大規模災害が地域を大きく変えてしまい、社会や人々の変化もあって復興を進めるだけでなくゴールの姿を描くことも決して容易ではないことを感じざるをえません。

 そして、この10年間で各地でも地震や豪雨・台風・豪雪などの大規模自然災害が次々に発生しました。さらに、今後の10年間でも南海トラフ地震や首都直下地震などの発生が懸念されています。これらの被害は東日本大震災を上回る可能性もあり、この10年間を振り返ることは次の10年間をどう乗り越えるか考えるためにも大切なことだと思います。

 公務員の災害対応は、年々拡充されています。地方公務員の数が減少している中で、災害部門の職員は増加しています。また、前代未聞の災害の発生や今後の予測などを踏まえて、地域防災計画の策定や改定などが行われています。地域住民の関心も災害対策に向けられており、地域政策の基本とも言える安全・安心な生活の重要性が改めて問われています。

 災害対応は「自助・共助・公助」と言われています。これは菅政権の方針にも取り入れられて、印象は必ずしも良くない面もあります。しかし、災害対応としては大変重要です。公助だけの災害対応には大きな限界があるからです。ただ、自助といっても公務員が何もしないのではなく、個人や企業がとるべき対応をしっかりと示しておくことが必要です。例えば、防災グッズの準備や家具転倒防止器具の設置などは自助として大切ですが、その普及を促す啓発活動とともに公務員自身が率先して取り組むことも重要です。

 もう1つ、公助の面で公務員の果たす役割は大きく、災害対応の最前線に立つことが期待されます。とはいえ、おそらく公務員やその家族は被災者にもなる可能性があり、家庭だけでなく地域を守る役割も果たす必要があります。そのため、先に挙げた日頃の対応は公務員にとってきわめて重要です。

 自然災害はできれば起きてほしくないですが、避けることはできません。むしろ、日頃から十分な準備をしておくこと、公務員はその先頭に立つとともに住民や企業に働きかけることに力を入れてほしいと思います。

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