土曜コラム「今週後半のニュース」第41回:副市長を選ぶ方法について

 今週の後半も多くのニュースにコメントをしましたが、今回は次のニュースを改めて取りあげたいと思います。

 内定の34歳副市長 選任同意案を否決 広島・安芸高田市議会

 このニュースについて、私は次のようにコメントをしました。

 注目されていたが、結果は不同意。外部の目線をどう取り入れていくか、議会の声も聞きながら引き続き検討してほしい。

 まず、副市長は特別職の公務員に該当し、議会の同意を得て選任することになります。一般職の公務員のように試験を受けることはありませんが、今回は公募という形をとったので、ある意味では面接試験を突破した型を採用する という形になっています。今回のニュースが注目を集めたのは、外部からの公募で珍しい例であったことと、議会の同意を得られなかったことの両方が要因になっています。


 副市長を外部から登用することは、一般的です。特に多いのは、都道府県の幹部職員や国家公務員の出向もしくは退職によって副市長に就任する例です。前者の場合は一定の任期を終えた後、元の職場に戻ることもあります(そのまま出向元を退職して定着する例もあります)。こうした人材は、都道府県や国の政策に精通していることから、それを市町村行政に生かしてもらうことが期待されます。


 ただし、外部とは言っても公務員としての豊富な経験を持っていますし、副市長以外の部長や課長職でもこうした出向で来られる方も多いので、都道府県の幹部職員や国家公務員が副市長に就任することは、違和感がほとんどありません。今回の記事は、外部の人材でありながら公務員でもないので、素性の知れない方を副市長に選任することに同意するのは少し不安もあったのかもしれません。


 ただし、公務員でないからと言って外部からの副市長選任に意味がないとは思えません。例えば、「民間の視点で行政の古い慣習を打破してほしい」という思いがあれば、民間出身の副市長は適任になるでしょう。今回の副市長選任で、どのようなことが行政に期待されるのかを議会に伝えきれなかったという面もあると思います。


 もう1つ注目されるのは、議会の同意が得られなかったことです(もちろん賛成少数で否決されたので、賛成の議員がいなかったわけではありませんが…)。地方議会で首長が提案した議案は、大半が可決されます。事前に議会の思いを議案に取り入れたうえで首長が提案したり、 議会に対する説明を十分に行い疑問を解消したうえで議決をしている、ということではないかと思います。人事案件なので、否決されたには議会の思いが汲み取られていなかったり、先に述べたように議会への説明が十分ではなかったのかもしれない、と感じます。


 次のような反対意見が、記事に紹介されています。「コロナ禍でこの先、経済が見えない中、また、財政の厳しい中、この時期に2人目の副市長が必要だったのかという市民の声も多くなっています。」そもそも副市長が2人必要と思われていないようです。これでは、内定された方だけでなく応募した方も気の毒に感じてしまいます。


 もちろん記事の範囲で感じたことを書いているので、正確な状況は分かりません。しかし、副市長は市政で大変重要な役割を果たす存在です。早い段階で決着し、市政が円滑に進むことを祈っています

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