水曜コラム「今週前半のニュース」第17回:未来の予測から現在なすべきことを考える

 今週前半も多くのニュースにコメントをしましたが、今回は次のニュースを改めて取りあげたいと思います。

成毛眞「日本人よ、自分が生き残ることを考えよ」

 このニュースについて、私は次のようにコメントをしました。

 公務員も、未来を見据えて行動する姿勢が必要。その時に求められるのは、未来への洞察力。

 「バックキャスティング」という言葉があるように、将来のあるべき姿を描いて、そこに到達するために今から何をすべきか考え実行することの重要性が叫ばれています。企業経営だけでなく個人の人生においても当てはまるでしょう。公務員の仕事や公務員自身も同じだと思います。

 成毛眞氏の著書「2040」がベストセラーとなり、NewsPicksでも新番組がスタートしました。これからの時代がどのように転換し、私たちがどのように対処すべきかを考える有意義な題材だと思います。この記事も、その1つです。

 ただ、地方行政の分野でもバックキャスティングの発想が大きな成果をあげた事例はあります

 例えば、神戸市のポートアイランドです。神戸港の物流機能拡充に際して、「これからコンテナ輸送の時代が本格化する」との見通しを立て、コンテナ化に対応した港湾の整備を決めました。さらには、都市機能の拡充も併せて行うことになり、ポートアイランドが整備されたのです。その後の神戸港は、阪神・淡路大震災が発生するまで世界有数のコンテナ港湾として機能してきました。コンテナ化への洞察があったからこそ成し遂げられたことです。

 また、横浜市は景観の重要性に着目しました。「みなとみらい」はヨコハマを象徴する素晴らしい景観を誇りますが、高速道路の高架による整備を寸前で食い止めたのも、低コストでの整備を重視する国に対して、横浜市が景観を重視していたからだと思います。
このように、将来を見据える洞察力が後世に与える影響は大きなものがあり、大きな転換が見込まれる状況ではその成否が地域の命運を左右するとも言えます。

 これからの世界と日本はどうなるか、それは必ずしも正確に予測できるものではありません。運良く当たることもあれば運悪く外れることもあるでしょう。しかし、大切なのは変化を捉えようとする姿勢だと思います。そのヒントは歴史の中、そして現実の中にあります。成毛氏もそうしたヒントを示しながら未来を見据えています。

 公務員もまたそうした姿勢に学ぶとともに、自分なりの将来像を描いた上で、今からすべきことを考えるバックキャスティングの発想で仕事を進めなければならないと感じました。

 今回は記事の内容よりも記事から得たヒントを中心に述べました。成毛氏の著書や番組、また他の方の予測などにも触れていただきたいと思います。

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