連載企画:面接で差をつける!地方公務員の注目ニュース「非正規公務員の雇用環境を考える」

 このコーナーでは、今週ツイートしたニュース記事の中から特に印象に残った1つをピックアップして、掘り下げてみたいと思います。
 今週は、次の記事を取り上げたいと思います。

「非正規は仕事をしない」公務員の分断を生む根因

 この記事について、私は次のようなコメントをしました。

 「非正規は仕事をしない」かどうかは結局「人それぞれ」。「仕事をしない正規」もいる。おそらく、民間企業でも同じではないか。

 まず、「非正規は仕事をしない」が本当かどうか以前に、このような考え方は好ましくありません。「正規=仕事をする」「非正規=仕事をしない」と括るのは、「男は仕事、女は家庭」という性差別と同類だからです。いずれも結局は「人それぞれ」で、仕事をしない正規も仕事をする非正規も私は見てきました。固定した括り方が行き過ぎると、かえって分断が深まると考えます。

 記事にも書かれていますが、これは公務員の採用試験とも係わる問題です。新卒一括採用に加え、民間企業にはない試験を突破しなければならないので、その機会がない方には正規雇用となる可能性はかなり低くなります。結局、不安定な非正規雇用で低賃金に甘んじなければならない、という形になってしまうわけです。

 非正規で雇用された方が実績に応じて正規雇用に転換される仕組みの創設は一定の意義があるように思います。ただ、その判断も容易ではありません。評価が難しいからです。これは正規雇用でも同様で、民間企業のように売り上げや利益のノルマがないことや、公務員の仕事が幅広いため画一的な評価ができないことなどに由来していると思います。評価制度は導入されていても、客観的かつ具体的な評価よりも主観的で曖昧な評価になってしまう、端的に言えば「好き嫌い」のような評価になってしまいます。

 もちろん、非正規雇用の低賃金が住民の負担を抑えている面もあるので、正規雇用に転換するための財源がない、と言った問題もあります。さまざまな歪みが現状の背後にあるので、弥縫策で対処するのは限界があり、問題の先送りにすぎません。どこかで抜本的に転換することが必要になるでしょう。

 本来、こうした問題への対応は自治体の側から提起されるべきもので、だとすれば今回の統一地方選挙でもクローズアップされて良かったかもしれませんが、そうした訴えはあまり聞こえてきません。有権者にとっては受けが良くないからだと思います。しかし、それが問題の先送りを生んでいるのだとすれば、そろそろ真正面から向き合う機運を、この統一地方選挙をチャンスとして作っておいた方が良いように思います。

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