連載企画:リアル体験!地方公務員の仕事紹介「最初は電話を取るのに一番緊張した」

 新採用の地方公務員は、もちろんすぐに仕事を任されるわけではありません。大学で勉強したことと地方公務員の仕事はまったく違うので、いきなり仕事をするのは任される側だけでなく任せる側にもリスクが大きいです。そこで、まず仕事全体の雰囲気に慣れてもらうところからスタートします。

 特に私が入った役所では、4月中旬から1週間の研修が始まるのと、この時期が忙しい(住民税の納入通知を発行する)ため、新採用の職員をゆっくり育成する余裕はありませんでした。そこで、最初に言われたのは「地名を覚えること」「法律を読むこと」の2つでした。居酒屋のアルバイトでも、まずメニューを覚え、作り方や接客方法を知ることから始まると思いますが、地方公務員の仕事もそれと同じです。

 特に、地名は私が地元出身でないため、ちんぷんかんぷん。地方独特の読み方に慣れるのは大変でした。これについては、同じ課の先輩から教えていただきました(今もお世話になっています)。本当に初歩の初歩からスタートしたのですが、もちろんその後に所属した部署でも使いました(地元出身の人でも地域内のすべての地名を知っているわけではないので、地名は覚える必要があります)。

 法律を読むことに関しては、「税務六法」を渡されました。また、担当する住民税について分かりやすく解説された「要設住民税」という本も読みました(いずれも「ぎようせい」から出版)。特に税務六法は広辞苑くらい厚く、しかも2冊あります。全部読んで覚える必要まではないものの、税金や住民税の全体像をイメージすることは大切です。

 特に、税金は不公平や曖昧さか許されない分野なので、ルールをしっかり決めておく必要があり、六法が充実しているわけです。税務六法には条文だけでなく改正の概要や重要判例なども紹介されています。何が重要なのか最初は分からず読んでいましたが、少しづつポイントが見えてくるようになりました。

 地名を覚えたり法律を読むことは自分の世界に閉じこもる形になるので、マイペースでできるのですが、一番緊張するのは電話の応対です。当然、デスクの近くには電話があり、いつ鳴るか分かりません。初めて近くの電話が鳴った時はビックリして身体が凍りついたことを覚えています。その時、先輩が「自分が取るから見ておいて」という雰囲気で電話を取って下さったので、ホッとしました。ただ、毎回それはできないので、先輩の受け答えを見て真似るしかありません。最初に電話を取ったときはとても緊張するしましたが、徐々に慣れてきました

 電話には主に「内線」「外線」の2種類があります。内線は機関内部での連絡です。つまり、他の部署からかかってくるので、それほど緊張はしません。何か連絡するのにいちいちその部署に行くのは非効率ですから、それを電話で行っているだけです。一方、外線は地域住民や企業などからの連絡です。クレームの可能性もありますし、自分が応えられるかどうか分からないので、緊張感があります。

 ただ、これも慣れるしかありません。私も何度か電話を取っているうちに、慣れてきました。もちろんクレームもありましたし、応えられない内容の電話もありましたが、それを避けることはできません。たまたま時分が取った電話がそれだと「運が悪い」ことはその通りですが、誰にも起きることなので割り切ることが大切です。いずれにしても、新採用の方が最初からバリバリ仕事をできるわけではなく、期待されているわけでもないので、少しずつ雰囲気に慣れながら、仕事を覚えていただければと思います。

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