火曜コラム「オススメ書籍」第43回『都市データパック』東洋経済新報社
この書籍はデータ集なので読む部分は少ないのですが、「住みよさランキング」を30年にわたって発表しており、毎年の結果が大きな注目を集めています。ランキングの集計方法は何度か改正が重ねられ、大きな改正があると順位の変動も大きくなるので、住みよさに対する考え方が徐々に深まっていることを感じます。
最新のランキングは2019年版から大きな修正が行われたもので、結果にも大きな変動が見られました。特に注目されるのは大都市圏の市町村が上位に軒並みランクインしたことです。最新版では、全国812市区のなかで、東京都文京区が全国2位、武蔵野市が3位に入っています。また、渋谷区も13位、新宿区が21など23区が軒並み上位に入っていることが特徴です。
これまでは、首都圏でも、千葉県印西市など大都市のベッドタウンが上位に入っていました。最新ランキングでも印西市は32位と高いのですが以前ほどではありません。関西地方でも滋賀県栗東市は今回83位です。ベッドタウンよりも都心の住みよさが高く評価される形になっています。実際に都心回帰の動きがあるので、人々が住みよいまちを求めている傾向と合致していると言えるでしょう。
なお、私が以前暮らしていた北陸地方都市も上位の常連でした。ざっと上位10位のうち北陸が半分くらいを占めていたのです。こちたは最新ランキングでも同じで、1位は石川県野々市市ですし、ベストテンのうち6市を北陸地方が占めています。ただし、北陸地方の人口は必ずしも増えていないので、私が暮らしていた頃も「実感がわかない」といった感想が多く寄せられていました。
この本はデータ集なので、住みよさランキングが必ずしもメインではありません。しかし、伝統あるランキングであり、類似のランキングがたくさん出てきて注目を集めています。ランキングの結果を通じて、「住みよさとは一体何か」を考えるきっかけになれば良いのではないかと思います。
なお2019年版から内容がアップグレードしました。各市の掲載データが拡充され、町村のデータも収録されるようになりました。市ごとにデータが集約されているので、効率的に最新のデータを把握することができます。また、データごとの全国順位も出ているので、強みや弱みなども簡単にイメージすることができます。
ただし、価格もかなりアップグレードしました。かつては税別6,500円程度でしたが、最新版は18,000円です。個人で買うには少々ためらう価格になってしまったことは残念ですが、オフィスで購入することにより、メンバーの共有財産として活用すれば幅広く使えるのではないかと思います、