土曜コラム「今週のニュース」第6回:地方創生の新たな展開へ
今週は、地方創生に関して2つのニュースをとりあげた。
このニュースに対して、私は次のようにコメントした。
リモートワークが企業のどの分野で促進されているかが重要。
このニュースに対して、私は次のようにコメントした。
オンライン教育によって、上京せず自宅で受講している学生も多いと思われる。進学はしているので、一過性のものと推測。
最初のニュースについて述べる。地方創生によって、大学の定員は大きな影響を受けてきた。東京23区の大学定員増が認められなくなり、定員を超える学生受け入れの制約が加わって、都内の大学が大幅に難化したと言われている。今後は、さらに地方の国立大学の定員を増加して、東京ではなく地方に進学する学生を増やす取り組み、と言える。
私は以前、地方の大学にも勤務していた。地方の側から、多くの学生にとって魅力あるプログラムを提供するよう、工夫を凝らしてきた。ただ、どうしても小さいゆえに広がりには限界がある。東京には多くの大学がしのぎを削っているなかで、互いに競争を繰り広げているなかで地方とは総合力の差を広げてきたように思う。
一方、次のニュースは、東京の人口が新型コロナの影響で流出増となったことを報道している。コメントもしたように、おそらく上京できない学生や社会人が一定数あったものと思われる。したがって、コロナの影響がある程度落ち着いてきたら、東京への流入が戻ってくるだろう。ただ、経済の停滞が懸念されており、これまで景気後退とともに東京への集中が緩和されてきたから、今回も経済面の影響で流入が減ることが予想される。
ただ、この2つのニュースを合わせてみると、1つの考えが浮かぶ。それは、地方国立大学の定員を増やさなくても、地方に居住したまま東京の大学に進学することができるのではないか、ということである。地方創生が定住人口に着目しているのであれば、もはや大学の配置はあまり関係がなくなるのではないか。
私も、今期の講義はオンラインで行っている。おそらく上京せず地方の実家で受講している学生も多いだろう。家賃もかからないし、wifiも整っている。東京の生活を楽しみにしていたかと思うと可哀そうな気もするし、サークル活動や大学との仲間づくりなどができない点は物足りないであろうが、講義の受講は何とかなる(そうでないものもあるとは思うが…)。学部によっては、地方に居住したままでオンライン中心の講義で進学することも可能であろう。そうすると、23区の定員抑制も地方国立大学お定員増も(学部によっては)あまり意味をなさないように思う。
もちろん、私は東京の大学に進学する方が絶対に良い、とまで考えているわけではない。むしろ東京はいろいろ誘惑も多く、学生が勉学に励むためには不都合な点もある。企業のような集積の利益もそれほど大きくないであろう。だから、私は東京の大学に進学する方が絶対に良いとまで考えているわけではない。
ただ、かつてのように進学と就職を機に若者が地方から東京を始めとした三大都市圏に流出し、それが地方の人口減少を加速するというメカニズムが崩壊し、それを解決するための方策も見直しを迫られる可能性がある。新型コロナの蔓延を機に、大都市と地方のあり方を根本的に見直す必要があるのではないだろうか。