土曜コラム「今週のニュース雑感」第3回:在宅勤務の普及策-日本はどうすべきか

ツイートはしていないが、今日の日本経済新聞に「在宅勤務が標準に 欧州は法制化の動き、米は企業主導」という記事があった。

今回の新型コロナ対応で、日本でも政府や自治体等の要請を受け、企業や行政機関が在宅勤務を導入した。一方で、在宅ではできない仕事や業種もあり、通勤客で混雑した駅の映像が連日放送されている。

自粛要請そのものに強制力はなく、企業や行政機関の自主的な対応に委ねられている。ただ、「日本モデル」という表現には批判もあったものの、結果的に感染者や死亡者数が他国も比べて低かったことは良かったと思う。

しかし、自主的な対応では、在宅勤務が可能な場合でも後ろ向きになる企業や行政機関も当然出てくる。そうしたところで働く従業員や公務員は、感染の不安のなかで通勤や仕事をしなければならない。

日本経済新聞の記事は、欧州で「在宅勤務権」の法制化が始まっていることを報じたものだ。ヨーロッパでは好ましくない外出に罰則を設けるなど、強制力が日本よりも強い傾向がある。在宅勤務権という考え方も、労働者の権利として外出抑制を促進しようとしたものと言えるだろう。

これには、長時間労働の是正も目的にあるようだ。また、在宅勤務に積極的な国は生産性が高い傾向がみられるという。

日本は新型コロナ対応としての外出抑制は自粛要請で最初の困難を乗り越えた。しかし、在宅勤務権が不要とは必ずしも言えない。今後、より大きいと懸念される第2波への対応、さらには長時間労働の是正や、労働生産性の向上は、日本の方が他国よりも深刻な問題と言える。在宅勤務権の法制化は、日本でも検討すべきではないだろうか。

ただし、記事でも指摘されたように「日本での定着には人事評価制度や労働法制の改革が必要」である。改革を置き去りにして在宅勤務権だけを法制化しても、かえって生産性が低下する可能性さえある。日本での定着には人事評価制度や労働法制の改革はこれまでの働き方を大きくな変えると考えられるので、大変な道のりとなるだろう。

しかし、在宅勤務に対する認識が変わりつつある現在だからこそ、これをコロナ対応だけでなく広く、長い視野で捉え、日本の働き方を大きく変えるための取り組みとして進められることが望ましい。

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