木曜コラム「公務員の仕事」第7回-1年目からの成長:稟議書(起案文書)の作成
仕事にある程度慣れてくると、稟議書(りんぎしょ=起案文書)を作成する機会が与えられる。稟議書とは、行政機関の意思決定を行うために作成する文書である。例えば、あるプロジェクトを始める時に、その目的や対象、予算額など大まかな概要を示し、上司の了解を得るために作成する。あるいは、鉛筆を1本購入する時も、購入するという意思決定に関して、上司の了解を得るために作成する。さまざまな意思決定には、稟議書を作成しなければならない。
上司は稟議書に押印して、了解したことを示す。定型的な文書ならば、稟議書は上司の机の上に置いておけば押印して返却してもらえる。重要な文書は上司に直接持参し、説明を補足するなどして了解してもらう。上司の仕事の多くは、この稟議書に押印する仕事であると言える。
上司の範囲は、意思決定の内容による。重要性が高いものほど、より上の役職の上司が最終的に決定する。稟議書を作成するのは、了解を得るために必要な内容を書ける職員である。新米職員は簡単な稟議書、つまり鉛筆を購入するなど定型的な意思決定のための稟議書から作成していく。
とはいっても、稟議書であることは変わらない。上司の了解を得るために必要な内容を書き込み、上司に分かりやすく説明しなければならない。大卒直後の自分にとっては、親と同じ世代の上司に説明するのは緊張するものだ。定型的なものなら、それほど説明を要しないので、先輩が作成した類似の稟議書を参考にすれば何とか作成できる。
上司も質問などをして、その職員がしっかり考えて稟議書を作成しているか確認することもある。内容が不十分な場合は、もう一度作成しなければならない。大学でレポートや卒業論文を作成するときは意識しないが、大学でレポートや卒業論文をしっかり書けていれば公務員になっても適切な稟議書を書けるだろう。