連載企画:リアル体験!地方公務員の仕事紹介「生活にも役立った「仕事のスキル」

地方公務員の仕事は非常に幅広く、部署の異動はまるで転職したかのように、今までとはまったく異なる仕事を経験することがあります。それにはプラスとマイナスの両面があって、幅広いスキルや視野を持てるのはプラスになる反面、今までの経験が使えなくなることはマイナスです。今回は、地方公務員の仕事で得た知識やスキルが生活にも活きたことについて、私の経験をもとに紹介したいと思います。

まず、最初に配属された税務課では、当然ですが税の知識が必要です。私は住民税の課税部門に所属したので、2月~3月に住民の確定申告を受け付け、それらを基に課税金額を計算しました。その経験は当然、自分自身の課税にも使えるものです。特に、自分自身の節税に大いに役立ちました。もちろん不正に税を逃れるものではなく、制度の範囲で納税額を抑える方法です。それは今でも、役に立っています。

 次に配属された財政課では、主に2つのスキルが生活に役立っています。まず、「値切り交渉」です。財政課の重要な仕事は予算編成ですが、その軸となるのが査定です。査定は、各課から支出の要求があったものを必要性や緊急性などさまざまな観点から評価し、予算化するかどうかを判断する作業です。当然、無駄遣いは許されないので、財政課の職員は「どこを削っても大丈夫なのか」を見極めることになります。強引に削るのではなく、削っても問題ない理由をしっかり示すことで要求した課にも納得してもらうのが大変でした。しかし、そうして得たスキルは、テレビやエアコンなどの大型家電や自宅の購入の際に、大いに役立ちました。

もう1つのスキルは地味ですが、電卓叩きです。予算編成は数字が命で、計算ミスは絶対に許されません。なので、電卓を速く正確に叩くことは仕事の重要なスキルなのです。予算編成の終盤になると職員総出で計算ミスがないかチェックするので、静かな職場で「パチパチパチ」と電卓の音だけが何時間も響いている、といった光景になります。最近は電卓を使うこともめっきり減りましたが、時々使ってみると当時の感覚がまだ少しだけ残っていることに驚くばかりです。

 他にも、さまざまな部署で生活に役に立つスキルが身につきます。例えば、広報の部署に配属されれば、カメラ撮影や紙面編集のテクニックが習得できるでしょう。最近ではSNSのフォロワー獲得のノウハウも身につきます。仕事を通じて有名人やインフルエンサーの方々と顔なじみになれば、部署が変わっても、あるいは退職した後も役に立つことがあるかもしれません。秘書課の仕事を経験すれば、政財界のビッグな方々とつながりも期待できるでしょう。

最後に、地方公務員の段取り力も非常に高いことを述べたいと思います。例えば、ロジ(出張やイベントなどの段取り)、事務書類の作成などは、これまでの先輩方の蓄積を継承しながら、さらにブラッシュアップを重ねてきています。私も地方公務員時代にさまざま経験した段取りや事務作業が、大学教員となってからも重宝されることが多くあります(地方公務員時代に予算に関わっていたためか、会計を頼まれることが多いです)。また、ロジを作成しマニュアルに落とし込む作業も頼まれます。大学教員らしくない仕事ではありますが、自分の強みを発揮できる場があることは良いことだと思います。

 これらは、配属された部署によるので、狙って身につけられるとは限りません。しかし、仕事で得たスキルが生活にも活かされるのであれば、さらにスキル向上ができますし、生活の質も高くなるので、良いことです。ぜひ、仕事で得たスキルを生活のさまざまな舞台で役に立ててほしいです。

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